「3月政局」ポスト菅のキーワードは「反菅・非小沢・世代交代」

「何とかなる」と思っているのは首相本人だけ

 先日夜、「3月政局」のキーマンと目される樽床伸二元民主党国対委員長(現衆院国家基本政策委員会委員長)と長時間話す機会を得た。衆院当選5回の樽床氏は今や、党内の「親菅」(直人首相)でもない、そして「親小沢」(一郎元代表)でもない中間派の代表格である。同氏が率いるグループ(「青山会」)の基本的な立ち位置は、「反菅・非小沢・世代交代」と言っていい。

 その夜の話はオフレコが掛かっているので詳細を紹介することはできない。だが、この10日間に会った仙谷由人民主党代表代行、与謝野馨経済財政担当相らとの話をも踏まえ、今回は筆者の最新政治情勢分析をお伝えする。

 結論を先に言えば、菅首相・菅政権にとっての「3月危機」は間違いなく出来する。問題は、菅首相本人がその危機を自覚していないことだ。前回、「官邸病」について言及したが、首相官邸にあって「裸の王様」状態の菅首相には11年度予算の関連法案を巡る与野党の攻防を含め政局の先行きがまったく見えていないのである。

 民主党内では「菅さんは3月いっぱいもたない」というのが一致した見方だ。何とかなると思っているのは、恐らくご本人だけだろう。

 公明党(山口那津男代表)の取り込みが難しいとなるや、これまで袖にしてきた社民党(福島瑞穂党首)に突然舵を切る。場当たりで節操がないというよりも、そもそも菅氏には政局観がないのではないか。

 危機を乗り切るチャンスはあった。公明党対策である。同党の漆原良夫国対委員長は1月23日午前のNHK「日曜討論」に出演、「私どもは(菅政権が作った)予算に反対だ。その予算をそのまま執行するような関連法案に慎重にならざるを得ない」と発言した。翌日の『公明新聞』は、山口代表の自民党大会での来賓挨拶をサブトップ扱いにして、漆原発言を写真付きで一面トップに掲載した。

 これはまさに、公明党から政府与党へのメッセージであった。民主党の09年衆院選マニフェスト(政権公約)を大幅に見直し、政府予算案を修正すれば、公明党は通常国会での予算審議に応じるだけでなく、場合によっては予算関連法案についても10年度同様に一部賛成に回ってもいいというメッセージだったのだ。

 ところが、原理主義者であり菅首相に忠実な岡田克也幹事長は24日の定例記者会見で、マニフェストの修正問題については予算案が衆院通過後に検討したい、と木で鼻を括ったような発言をした。菅首相も同様に公明党のメッセージを深く考えることなく、27日の施政方針後の各党代表質問時に何ら反応しなかった。2月になってからの公明党の政権批判のボルテージは上がる一方で、それでも「ノー勘の菅」よろしく秋波を送り続けている。

公明党は統一地方選挙とのダブルへ動き出した

 3月2日には政府予算案は衆院を通過する。だが、財源としての赤字国債発行に必要な公債特例法案など予算関連法案は、参院でデッドロックに乗り上げる。4月10日が東京都知事選など統一地方選第1弾、同24日は第2弾。公明党はすでに24日の統一地方選と衆院選とのダブル選挙を想定、総動員態勢に入っている。

 公明、自民両党とは衆院解散・総選挙圧力を日増しに強めていることは、2月9日の党首討論(QT)での山口代表と谷垣禎一総裁の菅首相への激烈な質問からも理解できる。

 そうした中、民主党内では3月下旬までに週末を利用して両院議員総会を開き、後継代表選出を速やかに行い、統一地方選と衆院選に臨む新体制発足を求める声が出始めている。もちろん、菅首相が衆院解散・総選挙に打って出る可能性は残る。が、冒頭に記した中間派は小沢氏の支援を受けない候補、そして菅首相の傀儡ではない候補による代表選によって新しい「顔」を選ぶべきだと主張するに違いない。

 手を挙げるのは、代表選出馬経験がある中間派の樽床氏、グループを超えた支持が少なくない野田佳彦財務相(当選5回)、そして菅後継に意欲満々の前原誠司外相(当選6回)の3人になるはずだ。

 その際、小沢氏自らが特定候補を支持するとか、誰かを擁立することはないだろう。そして興味深いことは、野田(1期生)、樽床(3期生)、前原(8期生)の3人は松下政経塾出身である。

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