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「日本人はバカになった」は本当か
世界が嗤っている
漢字が読めない書けない、ことわざの意味を知らない、歴史を学ばない、勉強時間は中国人の半分、大学の教科書はマンガ、年間に一冊も本を読まない国民がなんと3000万人。そして何より働かない。途上国からもバカにされる学力と国力。

全部ひらがなの答案が

 都内有名私立大学に通う2年生の男子学生は、授業のレポート提出日が2日後に迫っているというのに、「まったく手をつけていない」という。焦る気配がないので、レポートのテーマが難しくて提出を諦めたのかと聞くと、そうではないらしい。

「しっかりと提出して、単位はとりますよ」

 そう言うと彼はインターネットの検索サイトで「レポート共有」という二語を入れて、検索し始めた。表示されたのは、学生間でレポートの売買ができるサイトだ。「こんなレポートが欲しい」とオーダーすれば、過去にほかの学生が書いた類似のレポートが手に入るのだ。

「このままコピペ(パソコン上で文章をコピーして、貼り付けること)して提出してもバレないんですよ。僕は一応、結論を変えるぐらいのことはしますけど」

 彼だけでなく、友人の多くはこうして手っ取り早く課題を片付けるという。

「ひょっとするといまや大学生の半分ぐらいは、『コピペ』で課題を提出した経験があるのではないでしょうか」

 というのは、金沢工業大学大学院知的創造システム専攻の杉光一成教授だ。杉光教授は昨年、「アンク」という企業と共同で、あるソフトを開発したことで、教育関係者から大きな注目を集めた。

 「コピペルナー」と名づけられたこのソフトを使えば、学生から提出された論文やレポートが、インターネット上から「コピペ」されたものであるかどうかを判別できるのだという。たとえ学生が文中の一部を書き換えていたとしても、全体の何割がコピペで構成されているかがわかるようになっている優れものだ。

 昨年12月、教育機関を対象に販売されたこのソフトは、卒業論文提出期限を間近に控え、大学から注文が殺到しているという。

「東京大学や京都大学の教授からも『早くウチにも欲しい!』という声がありますから、コピペ問題は一流大学においても無縁ではないようです。ただ、これは大学教授のために開発したのではなく、あくまで学生のために開発したものです。

 学生はコピペすることで、ものを考える、文章を書く機会を自分の手で奪っている。このソフトが普及すれば『課題を自分でこなすことで、自分の力が伸びるんだ』と学生が考えを改めるのではないかと期待しています」 (杉光教授)

 レポートひとつ自分の力で書けない大学生がうようよいる―ゆとり教育が実施されて以来、「日本人はバカになったのではないか」という懸念があらゆるところで論じられているが、日本人は本当にバカになったのか。本誌が取材を進めると、信じがたい話が出るわ出るわ・・・。

法政大学の川成洋教授が嘆く。

「大学では英語、スペイン語、政治学、そしてヨーロッパ文化論を教えていますが、後者2つはベーシックな知識がなくてもなんとかなります。問題は英語です。基礎のできている学生とできていない学生の差が激しすぎる。『主語と動詞はなんとなくわかるが、補語と目的語といわれてもなんのことやら』という学生はまだマシなほうで、なかにはアルファベットの順番がわからない学生や、『次の英文を日本語訳せよ』と問題を出すと、全部ひらがなで書いてきた学生もいて、手がつけられない」

 中央大学の山田昌弘教授も、学生の信じられない言動に頭を悩ませている。