野田総理はなぜウソをついたのか 怪しい「どじょうの美談」

2011年09月27日(火) 週刊現代
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 さらに野田総理は、月刊誌『Voice』10月号に「わが政治哲学」という政策論文を寄稿。「これ以上の借金を将来の世代に残さない」と「増税」の必要性をこれでもかと説いているが、ここで展開されている政策論は、野田総理によって書かれたものではなく、なんと財務省官僚によるものだというのだ。

「書いたのは財務省の3人の課長クラスで、監修者が藤井裕久氏です。財務省のメッセージに、野田さんの浪花節をまじえて作り上げたものです」(前出・財務省OB)

 官僚の作文を、自分の名義で発表するとは、まるで自民党時代の大臣とソックリ。野田総理はあえて時代に逆行しようとしているのか、官僚厚遇のための新ポジションの創設まで企てているというから驚きだ。

「民主党政権誕生以降、官僚の天下り先がどんどん減らされていきましたが、野田さんは天下り先のない窓際官僚の受け皿となる『高位スタッフ職』というポジションを設けようと画策しています。代表選のときに作成した野田さんの『政権構想』の中にも、この高位スタッフ職の創設が、さりげなく盛り込まれているのです」(前出・政治部デスク)

 野田総理の官僚厚遇はこれだけに留まらない。事業仕分けで凍結されていた埼玉県朝霞市の13階建て国家公務員宿舎建設工事が、先日再開されたのだが、この再開を承認したのは、財務大臣時代の野田総理。あんなに熱心に事業仕分けに取り組んでいた張本人が、官僚のための豪華宿舎建設にゴーサインを出したのだ。

「そもそも官舎はすでに余っている状態なので、新たに建設する必要はない。国家公務員の官舎の管轄は財務省が行っており、官舎を減らすと財務省の権限がなくなるので、工事の凍結に財務省は大反対でした。野田さんがこの建設工事再開にゴーサインを出したのなら、まさに財務官僚のいいなり、と見られても仕方がありません」(ジャーナリスト・若林亜紀氏)

 野田総理は、どうやら「官僚天国」を作り上げようとしているようだ。元経産省官僚の原英史政策工房社長はこう指摘する。

「野田内閣の閣僚人事は党内政治をにらんだ派閥均衡の『適材適所』であって、能力による『適材適所』ではない。これでは『大臣はお飾りで、実際の仕事は官僚任せ』という古い自民党政権への回帰そのものです。それがわかっているからこそ、霞が関はこぞって野田内閣に強い期待感をあらわにしているのです」

 野田総理は前述した『Voice』誌で、「『この日本に生まれてよかった』と思える国をいかにつくるか」、それが自分の使命であるとの決意表明をしている。しかし、彼が作ろうとしているのは、どうやら「役人になってよかった」と思える国のようである。

「週刊現代」2011年9月24日・10月1日号より

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