牧野洋の「ジャーナリズムは死んだか」
2011年02月10日(木) 牧野 洋

手本はトルストイ 「ハフィントン・ポスト」を成功に導いた「ストーリーテリング」という手法

ガラパゴス化する日本の取材とは好対照

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AOLの最高経営責任者ティム・アームストロング(左)とハフィントン・ポスト共同創業者のアリアナ・ハフィントン〔PHOTO〕gettyimages

 アメリカの有力インターネット新聞「ハフィントン・ポスト(通称ハフポスト)」は2月7日、インターネットサービス大手AOLへ身売りすると発表した。創業5年余りで3億1500万ドルの値段が付くほどのブランド価値を築いたメディア企業は異例だ。 

ハフポスト共同創業者兼編集長は、著名コラムニストのアリアナ・ハフィントン。昨年10月に彼女がロサンゼルスを訪れた際に、「ハフポストを創業して最も誇りに思うことは何か」と単刀直入に聞いてみた。答えは明快だった。

「われわれの使命は『データマイニング(単純に事実を報じる)』ではなく『ストーリーテリング(人間の物語を語る)』だ。事実を報じるだけでは人々を感化できない。物語にこそインパクトがある。主流メディアはニュースに飛び付き、すぐに忘れ去ってしまう。まるでADD(注意欠陥障害)を患っているようだ。われわれもADDかもしれないが、同時にOCD(強迫性障害)でもある。社会に変化を起こすまで根強く物語を語り続ける。ここが最も誇りに思う部分だ」

 データマイニングがいわゆる「逆ピラミッド型」が象徴する速報ニュース(ストレートニュース)だとすれば、ストーリーテリングは長文の読み物であるフィーチャー記事に相当する。

 一般には「ネットメディア=速報ニュース」との見方が支配的だ。ところが、ハフィントンは「ハフポストの競争力の源泉はストーリーテリングにある」と示唆したばかりか、既存の主流メディアについては「データマイニングばかりやっている」と一刀両断したのである。

 確かに、速報性を重視する主流メディアはデータマイニングに軸足を置いているかもしれない。だが、一流紙はストーリーテリングにこだわり、差別化しようとしている。

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