Vol.7 「分解されるメディア(2) 直感型新聞の可能性について」
インターネットが普及し、ユーザー数も当初とは比較にならないくらい爆発的に増大した。
あらゆる場所と人々がつながったいま、インターネットを利用するということは、ただ検索や買い物、情報発信のためだけではなく、社会そのものを変える可能性にも満ちている。
実際に、新しい産業が生まれ、旧来の産業のなかには価値転換を迫られているものもある。あまりにも変化の速度が激しいため、我々自身がその状態に適合する術を知らない。

本連載ではインターネットを介在させることで、これまで見過ごされてきた価値や経験などのヘリテージ(財産)を、新しい未来へとどう接続し直していくのか、コミュニケーションやメディアの変遷を通じて探ってみたい。
例えば、それは筆者のフィールドであるメディア産業を軸に、金融、製造など、多岐にわたる分野で起きつつあることを取り上げながら、新しい環境に我々が適合するためのヒントを探っていきたい。

 前回、コンテンツ・キュレーションと、それによって、ひとつのブランドのもとパッケージングされてきたメディアが解体されていくであろうという話をしました。さらに、キュレーション過多により、キュレーションのキュレーションが必要になるかもしれない、といった予測を交えました。

 しかし、それらキュレートされたコンテンツがキュレーターの主観を通じてではなく、違う方法論によってストリーム(本稿では、"情報の流れ"を意味します)が編まれて、読者に届けられるとしたらどうでしょうか? 読者自身が無数のキュレーターやストリームからベストなものを選ぶのではなく、自分が何を読むべきなのか、他者にお任せしてしまうのです。今回は、そんな個人の嗜好に紐づく情報配信について話をしたいと思います。

インタレストグラフはコンテンツ配信を変えるのか?

 これまでウェブ上でなにかを推薦するような場合、すぐに思い浮かぶのは、そのウェブサービス内での個人の購買履歴や閲覧履歴に基づき、買おうとした商品と併せて高い頻度で買われている商品を推薦するレコメンド・エンジンです。または、ユーザーの嗜好を把握して、プログラムが自動的に推薦するものもあります。アップルのiTunesMusicStoreで用いられているGeniusやショッピングサイトのStyle Feederがそれです。アイテムひとつずつをいくつかの属性に分類し、同じようなアイテムを多く閲覧したり、視聴しているユーザーに似たようなアイテムを推薦します。

 ほかに、人為的に人気投票を行うCGMやソーシャルメディアによるソーシャル・レコメンド系のサービスがあります。たとえば、CGMとしては、ニュース系サイトのdiggがそれにあたります。

 しかし、現在は同じソーシャル・レコメンドでも、ソーシャルグラフを使って、ユーザーとの関連性を高めるものが登場しています。誰とも知らぬ人たちの人気投票による推薦は、以前より影が薄くなっているといった印象が否めません。

 すでに本連載で何度か述べてきたようにソーシャルグラフは、なにか商品やコンテンツの推薦をプログラムが自動的に行うものとしてではなく、友人を通じて推薦してくれます。すでに本連載でも述べたフェイスブックのオープングラフというコンセプトは、ユーザーのソーシャルグラフを外部のサービスに露出できるよう、そのデータを無償で公開しています。

 では、レコメンド・エンジン、ソーシャルグラフ以外に、あなたにあなたが知りたいと思うものを教えてくれる方法はないのでしょうか? 最近はインタレストグラフを活用したサービスが登場しています。

 インタレストグラフは、人とモノや事象のつながりです。ソーシャルグラフが人と人のつながりだとしたら、インタレストグラフは、人だけではなく、モノ・コトが加わった関心事のネットワークの可視化となります。