ロシアが北朝鮮の債務110億米ドルを免除し、経済協力を本格化する

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 8月下旬の北朝鮮の金正日労働党総書記のウランウデ(ロシア・ブリヤート共和国)訪問後、露朝関係が急速に発展している。9月16日付ロシア国営ラジオ「ロシアの声」(旧モスクワ放送)が、ロシア政府が110億米ドルにのぼる北朝鮮に対する債務を免除することになると報じた。「ロシアの声」は国営放送なので、ロシア政府の立場に反する報道は行わない。この報道もロシア政府の指示に基づいてなされたものと筆者は見ている。

〈 ロシア 北朝鮮への大型借款を帳消しに

 ロシア政府は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との緊密な経済協力への道を開くため、110億ドルの借款を帳消しにする。借款の帳消しについての合意は11年末にも調印の見込み。これは両国経済省の代表者による話し合いの第1ラウンドの結果として伝えられた。

 北朝鮮はロシアから大型借款を行う国のひとつ。20世紀半ばにはすでに開始されていた借款は、国への貸し出しのほか、エネルギー資源、重工業製品、食料品の特別供給で、返済は行われていない。北朝鮮には罰則的な大型制裁が相次いだため、借款額も結果的に110億ドルにまで達してしまった。返済能力のない北朝鮮からは何も期待できない。またロシアが関心を持ちうる資源や開発もない。

 それどころか北朝鮮はロシア以外の国にも数十億ドルの借款を行っている状態だ。こうしたなかでロシア政府は借款額の90%を帳消しにする構えだが、その条件として残る10%を北朝鮮との合同プロジェクトへ投資することをあげている。同様のスキームをロシアはベトナム、モンゴルに対して行ってきた。これについてロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所の専門家、ヴァシリー・ミヘーエフ氏は次のように語る。

「ロシアの立場は基本的に正しく、筋が通っている。ベトナム、モンゴルともそうであるように、問題は経済に関わるものというよりは政治的なものだ。しかしながら北朝鮮とは違い、ベトナムは市場経済への道を歩みだした。これはモンゴルも同様だ。この二ヵ国とは市場経済のロジックで話ができる。このことからロシア政府の示すファジーな提案の実現化は、本質的には北朝鮮の経済モデルを変えさせ、市場改革、政治的開示性へ移行させようとすることと関係がある。」

 北朝鮮は自国の経済システムの旧弊化を克服し、隣国と何らかの経済関係を築こうとしているが、今のところ何の成果も得られていない。これに対し、ロシアの提案する借款帳消しプランは北朝鮮のニーズにチャンスを与えるものだ。共同で新プロジェクトを立ち上げることで北朝鮮も国際的な孤立をいち早く克服することができ、地域的な経済関係の仲間入りを果たして収入も増えるだろう。〉(http://japanese.ruvr.ru/2011/09/16/56260366.html)

 8月24日、ウランウデで行われた露朝首脳会談にどのような合意がなされたかはつまびらかにされていない。朝日新聞は、〈 両首脳は、ロシア極東から北朝鮮を経て韓国に天然ガスを送るパイプラインの敷設事業への協力で合意。核問題をめぐっては、金総書記は6者協議に無条件で復帰し、その際に大量破壊兵器の実験を一時停止する用意があると表明した。/経済協力の進展は北東アジアでロシアが中国を牽制する足場になるが、北朝鮮側が今後どこまで合意を履行できるかは不透明だ。 〉(8月24日asahi.com)と報じ、経済協力の発展について、懐疑的な見方を示した。