横行する「隠れ天下り」の呆れた実態
政府調査を徹底的にせよ

 新年から小沢問題で浮き足立っている鳩山政権で、もちろん政治とカネは重要だが、他にも手抜きできないものがある。脱官僚もその一つだ。政権発足直後は、脱官僚をやると威勢が良かったが、政治資金規正法の容疑で、鳩山首相の秘書と小沢幹事長の秘書が相次いで逮捕されるにつれて、その勢いがなくなってきた。

 官僚たちはそうした潮目の変化を見逃さない。2007年7月、安倍政権の時に成立した国家公務員法改正によって、2008年12月31日から公務員の再就職あっせんが禁止され、政権交代直後、天下りがきつくなったが、ここにきて鳩山政権の足下がぐらついている。

 天下りの本質は、再就職者本人の能力が問題になるのではなく、出身省側は再就職先の確保、受け入れ側は出身省が補助金などの便宜を図ってくれることだ。だから、天下りの際、再就職者と受け入れ側の関係より、出身省がどこまで尽力するのかを受け入れ側でも極める必要がある。

 というわけで、出身省と受け入れ側とが接触するわけだ。出身省側は、再就職者が高ランクなら官房人事担当者、それ以外は所管する各局の人事担当者が窓口だ。これは人事担当者の大きな仕事である。だから、3年前に国家公務員法改正の時には、各省の人事担当者はあっせん禁止条項に猛烈に反対した。ところが、今の民主党政権では、平穏にあっせんもどきが行われている。

監視委員会を作らなかった民主党に霞ヶ関は感謝?

 その理由は簡単だ。3年前の改正では、あっせん禁止とともに、あっせんを監視する第三者の再就職等監視委員会の設置が盛り込まれていたが、国会同意人事を盾にとって民主党が反対したために、同委員会が作られなかったのだ。民主党は政権交代しても同委員会を作らなかった。

 官僚からみれば、あっせん禁止とその監視委員会のセットならば、天下りはほとんど根絶されただろうが、お目付役の監視委員会がないなら、あっせんはなかったといえばオーケイなら天下りはたやすいものだ。その意味で、監視委員会の設立を阻止してくれた民主党に、多くの霞ヶ関の人事担当者は感謝しているだろう。

 監視委員会さえなければ、いかようにも「あっせん」は説明できる。「あっせん」について、法律では厳格に決めているが、実際には各省ごとにバラバラである。昨年12月4日、天下りが5代以上続いている特殊法人、独立行政法人、公益法人の421ポストで「あっせん」があったかどうかを調査した結果を発表した。

 ところが、それが不十分であったため、再調査して12月25日に再び発表した。あっせん率について5代続きポストの数が二桁以上の主要な省について、二つの調査によるあっせん率を見ると、各省で再調査のあっせん率が高くなり、しかも数値に省間で大差がある(次ページの図 参照)。これはあっせんの意味について各省でバラバラであることを示している。

 興味深いのは、調査を受ける他省が軒並み低いあっせん率であるのに対して、調査を実施している総務省のそれが断然高いことだ。しかも、調査担当部局の天下り先である「行政管理研究センター」は当初調査であっせん率は4割であったが、再調査では100%になっている。

 第三者の監視委員会がなく、各省にあっせんの解釈まで委ねていると、実際にあっせんがあっても「あっせんはない」となるだろう。ちなみに、これらの省は、2年ほど前までは、公務員改革の公の場であっせんは一切ないとウソをついていた。

 民主党も遅ればせながら、通常国会には、幹部公務員の一元管理とともに、天下りや「隠れ天下り」の監視委員会など設立する国家公務員法改正案を出すという。しかし、監視委員会を、あっせん禁止が施行された後に作るのはあまりに間抜けだ。

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