スリランカ経済復活の鍵は
会計士の"アウトソース"

ニューヨーク・タイムズ USA

2011年02月17日(木)

 内戦が終わった南アジアの島国には、会計士が多数存在する。
そこにいま、グローバル企業が注目している。

 グローバル時代のアウトソーシング先といえば、中国南部の組み立て工場やインドのコールセンターなどが思い浮かぶ。だがこれからは、“スリランカの会計士"もリストに加えておいたほうがいいかもしれない。20年以上続いた内戦が2009年に終結したスリランカは、会計士の数が多いことで世界的にも注目を集めている。

 人口約2000万人のこの国には現在、約1万人の公認会計士がいる。さらに3万人あまりの学生が会計学の勉強をしているという。すでに金融大手HSBCや保険大手のアビバなどのグローバル企業が、会計業務のアウトソーシング先にこの国を選んでいる。

 スリランカの強みは、英語を話せる人口が多く、識字率が90%を超えることだ。人件費も安く、米国の平均的な会計士の年収が5万9000ドル(約490万円)程度であるのに対し、スリランカは5900ドルほどと約10分の1だ。これはインドの水準よりも低い。加えてスリランカでは有能な人材がまだ囲い込まれておらず、比較的簡単に人材確保ができる点も、グローバル企業にとって魅力となっている。

ニューヨーク・タイムズ

 スリランカで会計士になる人が多い背景には、歴史的な要因がある。政情が不安定だった内戦中、国外へ脱出しても生活していける職業が、会計士だったというわけだ。こうした人材はいま、世界的に活躍している。

 また同国では、もともと公立大学の定員数が少ないため私学に進学する学生が多いが、この国の私学の多くは英国の植民地時代(18~20世紀半ば)に創設された英国系のアカウンティングスクール(会計専門学校)だ。

 内戦で公立大学が頻繁に閉鎖されるようになると、私学で学ぶ学生の数はますます増えることになった。いまでは会計士の資格がキャリアに直結するため、公立大学に合格しても、あえてアカウンティングスクールへの進学を選ぶ学生もいるくらいだ。

 有能な会計士が国外に流出する原因となっていた内戦は終結した。今後は彼らが、スリランカの経済発展を担うことになる。

 

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