池田信夫×岩瀬大輔×高橋洋一×長谷川幸洋×山崎元「雇用、選挙制度、メディアを変えよう」
徹底討論「2011年 どうなる日本経済」vol.3
左より山崎元氏 (経済評論家)、長谷川幸洋氏 (東京新聞論説副主幹)、高橋洋一氏(嘉悦大学教授)

vol.2 「民主党政権で『改革』も『成長』もできないのはなぜか」はこちらをご覧ください。

岩瀬: 僕の同世代の官僚は補佐くらいのクラスですが、彼らの中にはこのままではいけないと思っている人が少なからずいます。また40代くらいの政治家では、留学経験もあり、ビジネスをやっていたという感覚の人が、自民にも民主にもいる。政治の素人として見ると、自民、民主の40代くらいの若い人が組めばいいんじゃないかと思うんです。

そもそも政党が票に直結する労組や高齢者を重視するのは、毎年、選挙が多すぎるからではないですか。国政選挙だけでなく、統一地方選とか、首長選とか何かあるたびに「政権の信が問われる」なんて話になるので、選挙対策として票を持っている層に何か手をうたざるをえない。こうした仕組みにも課題があると思うんです。

長谷川: 政界再編についていえば、僕は昨年末にもてはやされた大連立の話は、ある意味いいことだと思ってます。どうしていいかというと、大再編を仕掛けようとしているのはオールド・エスタブリッシュメント、つまり老人たちが中心です。

 この流れがどんどん進めば、自民党の中でも中堅・若手で政策を考えている人たちから冗談じゃないと反乱が起きるでしょう。民主党も同じですよ。大連立の動きが出ると、岩瀬さんがさっきおっしゃった霞が関の若手・中堅からも、こんなバカなことやっていいのかという声が出る。だから大連立の話が進めば自民も民主も両方が壊れる。両党のまともな部分が結合する作用が働く。だから、大連立は逆説的にいいことだと思うんです。

高橋: 今は政治家がサラリーマンなんですよ。自民党、民主党という大企業に務めているサラリーマン。下の方はわりとまともなんだけど、上がごちゃごちゃしている。こういう時は合併して、上下で分けるとすっきりする。

池田: 僕も長谷川さんと同じ意見です。大連立がけしからんとは思わない。いっぺん、どーんとやったらいい。500人の政党が成り立つわけがない。絶対割れる。自民、民主両方にいいのと悪いのが混在してるんだから、それを分ければいい。年寄り党と若者党にでも割れた方がはっきりする。

長谷川: 大連立を進めている人はだいたい増税派でしょ。そして増税派の人は、岡田克也さんもそうだけど、増税やるときは総選挙すると言っている。これはいいことだと思う。「私たちは大連立で増税です」と言って解散総選挙をやったら、政界にガラガラポンが起きますよ。

高橋: 今やると、民主、自民以外のところ、たとえばみんなの党みたいなところが票を取るんでしょうね。でも、大政党を、なんかの形でぶっ壊さないと難しいよね。

長谷川: ぶち壊すメカニズムでもうひとつ指摘しておきたい。

 地方の反乱です。名古屋、阿久根、大阪とか、みんな根っこは同じことなんですよ。普通の住民たちが感じているフラストレーション、公的なものに対するフラストレーション、これがエネルギーとなって、いまの体制を壊したいという衝動が背景にはある。

 もうひとつは、ネットによる反乱です。小沢一郎さんがニコニコ動画に出たし、公安情報の流出、尖閣ビデオ、Wikileaks。これは全部同じ話です。既存の出来上がったメディアを個人の反乱で壊していく。こういう動きが大きい。

 それから付け加えれば官僚の反乱ですよ。高橋さんはそのはしりだけど(笑)。

高橋: 霞が関を脱出しないで、中で改革をやろうというのは大変なんです。上にかた~い岩盤があるんだから。同じ労力だったら、外に出ちゃえばできる。さっき政策立案がビジネスになってると言ったけど、これが有名になってきて、若い官僚たちに辞めてもなんとかなるんじゃないかっていう感じが広がると面白いよ。

1億3000万人をひとつの政府でまとめるのは無理がある

岩瀬: 地方では千葉市をはじめ若い首長がたくさん生まれてますよね。これは永田町にイライラしている人の受け皿になっているんじゃないですか。

 我々の世代からすると、投票先がないというのがある。自民党、民主党、どっちに入れればいいかわからない。都知事選も、誰に入れれば自分たちの意思が反映されるのか。受け皿がない感じがあります。

池田: 名古屋市長の河村たかしさんなんかがやっていること自体はかなり支離滅裂だけど、それに期待する地方のフラストレーションっていうのはすごく感じます。橋下徹さんにしても、ああいう突出した変な人があれだけ拍手喝さいを浴びるというのは、いかに国民が霞が関に頭に来ているのかってことだと思う。

 1億3000万人をひとつの政府が統治するっていうのはものすごくしんどくなっている。アメリカなんかは3億人いて、一応は連邦政府にある程度権限はあるけど、地方分権が進んでいます。日本みたいに完全に霞が関が1億3000万人を統治するっていうのは、もう限界が来ている。高橋さんの例えで言えば、大企業病です。規模が大きすぎて身動きが取れなくなってるんですよ。

長谷川: よく校舎の話を引き合いに出すんです。例えば小学校の校舎を建築するときに、北海道でも沖縄でも南向きに作らなきゃいけないってなってる。でも沖縄で南向きに校舎作ったら、暑くてしょうがない(笑)。社会福祉法人なんかの施設も、廊下の幅は1.2mか、それ以上なきゃいけないとか、この手のことはいっぱいある。霞が関が細かい規制を全部やっていくっていうのは、非合理的ですよ。

山崎: 本来は地方分権、改革も民主党の売りだったはずですよね。

池田: 地方分権とか道州制って民主党も言ってるけど、進んでないでしょう。僕もNHKにいた時にそういうテーマの番組を作ったけど、20年経っても何も進まない。袋小路ですよ。それより橋下さんが言ってるような関西独立運動とかね、地方の側から攻撃しないと変わらない。

長谷川: 愛知県も、県と名古屋市が合同でやるといってるんでしょ。実際は法改正しなきゃできないけど、普通の人から見たらわかりやすいですね。ああ、大村さんと河村さんで一緒になってやるんだなって。

池田: 関西の人から見たらね、文化の中心は関西なんだから、なんで霞が関にごちゃごちゃ言われなきゃいかんのだと思ってるわけでしょう。そのパワーでもって、独立宣言でもした方が面白いですよ。

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