坪田知己「メディア転生」
2011年02月04日(金) 坪田 知己

アジアカップMVP本田圭佑の「言語力」に見る「ニッポン再生」の可能性

リーダーに必要なのは「言葉の力」

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 サッカーのアジアカップで、日本代表は、韓国、オーストラリアを撃破して、劇的な勝利に輝いた。MVPは本田圭佑選手。日本代表が強くなった原因は「言語力」に気付いたからだ。実は日本の国語教育は世界の孤児。それが政治やメディアの姿勢に反映され、「先進国なのに2流国」の現状を作っていた。

サッカー協会の「反省」

 昨年1月30日、NHKは「追跡AtoZ」という番組で、「問われる日本人の"言語力"」という特集を放送した。その時に、日本代表のリーダーが本田圭佑選手になるという予言のような表現があった。その後、本田選手はワールドカップ、アジアカップで大活躍し、NHKの予言は的中したわけだ。

 日本は2006年のワールドカップで予選リーグを突破できず、大きな反省を迫られた。その敗戦を分析した報告書の中に「言語力の不足」という項目があった。

 サッカーは、選手同士のコミュニケーションが非常に重要なスポーツだ。日本選手は断片的な言葉を交わすが、その言葉の根拠を説明することをしない。その結果、言われた選手は、理由がわからず、戦略を飲み込めない。

 その反省から、サッカー協会は、言語力の講座を設けて、選手やコーチ陣をトレーニングしたという。

 本田選手以前の日本のリーダーは中村俊輔選手。彼はイタリアや英国でプレーしたが、寡黙で、他の選手とはほとんどしゃべらない。本田選手はよくしゃべる。オランダではキャプテンを務め、ロシアでもリーダー的に振る舞っている。従来の日本の選手にはなかったタイプだ。「言語力」に気付いたサッカー協会にとってぴったりのリーダーだった。

日本の国語教育は世界の潮流から外れている

 「言語力」とは、「文章や図表などを正確に理解したうえで、明確な根拠をあげて自分の意見を言う」という能力。読者の皆さんは、義務教育の中で、こうした訓練をうけたことがあるだろうか? 私が、30人ほどに聞いて、皆無だった。

 作文の時間はあるが、そこでは、文法的なチェックや誤字などの指摘は受けても、「意思を明確に書けているか」のような指導はなかったはずだ。

 世界中の国語教育は、この言語力の育成が最大の眼目。ところが、日本の国語教育は有名作家の文章を読んでの読解力などが中心で、言語力は無視されてきた。

 私は先日、NHKの担当ディレクターらと意見交換したが、その原因は、明治以降の日本の教育が「富国強兵」をテーマにしたものだった・・・ということに帰結しそうだ。

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