スクープ入手「光の道3法」改正案から抜け落ちた周波数オークション制度

どさくさまぐれを狙った総務官僚の姑息な手口
筆者が入手した予算関連法案の資料。「電波法の一部を改正する法案lなど三法案は「一括審議希望」になっている。
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 筆者はこのほど、大手マスメディアに先駆けて、「光の道3法」改正案の入手に成功した。「光の道3法」は、政府・与党が早ければ2月前半の閣議決定と国会への提出を目指して詰めを急いでいるものだ。内容をひと言でいえば、ブロードバンド・ネットワークの振興法案であり、立法趣旨は真面目でまともなものである。

 ところが、この3法案の中には、他の2法案と明らかに毛色が異なり、看過し難い法案が含まれている。電波法の改正案がそれだ。この法案は、関係者への公約だったはずの周波数オークションの導入の青写真がまったく描かれていない。換言すれば、オークション導入という公約を反故にする布石ともとれる内容となっているのだ。

 実際のところ、総務省は、なんとかして、電波法改正案に国会審議の重点が置かれることを避けたいらしい。電波法改正案を早期可決は必要な「予算関連法案」と称し、他の2法とも関連するので3法をあわせた審議(一括審議)を要求しているというのだ。電波法の審議に費やされる時間を減らそうと総務官僚が巡らす戦略はまともなものと思えない。

 まず、筆者が入手した改正法案をかいつまんで紹介する。光の道3法の柱は、(1)電気通信事業者間の競争を促進するための電気通信事業法とNTT法の改正案、(2)インフラ整備の公的支援を行うため、時限立法の期限延長と助成対象の拡大を盛り込んだ電気通信基盤充実臨時措置法の改正案、(3)迅速な周波数再編(立ち退き)を可能にするための電波法改正案---の3本だ。

 ご記憶の読者も多いだろうが、「光の道3法」のもとになった「光の道構想」は、原口一博・前総務大臣が提唱した。

 日本のすべての世帯でブロードバンドの利用の実現を目指すもので、実際の構想作りを担当した「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」においては、筆者も構成員の一人として報告書作りに携わった。

 そこで「光の道3法」だが、筆者は、全体としてみると、同法案がタスクフォースの報告の具現化を目指すものに仕上がっていると考えている。

 「電気通信事業法」と「NTT法」の改正案は、NTTの東西地域通信会社に対して、子会社との間のファイヤーウォール(業務隔壁)強化を義務付ける内容で、世界的な競争政策の潮流と符合する。

 また、過疎地の光ファィバー網の整備を促すため電気通信基盤充実臨時措置法を活用するのも、ごく常識的であり、真っ当な対応と言えるだろう。過疎地のインフラ整備は採算にあいにくい事業であり、民間企業に丸投げしたのでは必要なインフラを構築できない恐れがあるからだ。

利権や癒着を排除する周波数オークション

 ところが、前述の2法案と異なり、電波法改正案だけは理解に苦しむ内容だ。

 総務省は、「光の道構想」のタスクフォースメンバーである筆者らだけでなく、規制改革論議の一環として政府・与党関係者にも周波数オークション(入札)制度の幅広く早期の導入を公約したはずだ。しかし、今回、そのオークション制度の導入の手順やその姿に関する記述がすっぽり抜け落ちているからだ。

 改正の趣旨を示す「概要」を見ても、「電波利用料の料額を改訂するとともに、携帯電話事業者が周波数再編に要する費用を負担することにより早期にサービスを開始できるように所要の措置を講ずる」としているだけだ。

 これは地上波テレビのデジタル化が完了しても周波数が虫食い状態になるので、携帯電話会社に立ち退きの補償をさせようという趣旨を説明しているに過ぎない。その際に、「オークション」あるいは「オークション的な手法」、「市場機能」を用いるなどとしてきた、従来の説明を反故にする構えと取れる内容なのである。

 周波数オークションは、先進国クラブの俗称をもつOECD加盟国の間では、もはや当たり前の制度だ。長年、総務省が存続に拘ってきた比較審査(ビューティコンテスト)方式と異なり、審査基準が明確で、政治家と官僚の利権や当局と事業者の癒着が生じにくいからである。

 加えて、周波数獲得のためオークションで多額の資金を投入したうえで、既存の事業者との料金競争にも耐える必要があるため、日本と異なり、オークション諸国では通信システムの設備コストのカットなどが飛躍的に進展したとされている。

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