平松邦夫×内田樹「『教育はビジネス』という勘違いがクレーマー親を生む」

「教育は誰のためにあるのか」とことん語ろう 第1回
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 ほんとうに教育をよくしようと思うなら、教師も学生・生徒も保護者も周辺の地域社会もすべて含めて、全体として教育活動を支援していくことが必要なわけです。どういうふうにしていい教育環境を整えて、子どもたちの成長を支援するか、それについてみんなで知恵を出し合い、支え合っていくことが原則だと思います。

 学校と親が利害の対立する緊張関係にあり、それによって教育がよくなって、子どもたちがニコニコ笑って勉強をするということはあり得ないわけですよ。どういうふうにしたら学校の教育環境が気持ちのよい、のびのびと風通しのよいものになるかをまず考えなきゃいけない。

 でも、クレーマーにはそういった発想が全然ない。学校制度の瑕疵をあげつらうことにのみ熱心で、いきなり対立的な関係を作ろうとする。

 それは医療の場合もほとんど一緒ですけども、システムと個人の間に非常に緊張感があり、システムの側にもっぱら非があり、自分たちが得るべき利益が失われているとまず考える。そして、大声で自分たちの逸失利益を奪還しようとする。そういう発想で学校や病院に食ってかかってくるんです。

「学校を批判すればシステムがよくなる」なんてあり得ない

 対応していて窮するのは、彼らが「子ども」なんだからです。たしかに歳は取ってますよ。40、50歳の人なんですけれどもね。話にならないんですよ。自分の意見は正しいという頭で一杯になっていて、いくら道理を説いて聞かせても感情的になるばかりで。

 結局はこっちが子どもをなだめるように、相手のヒステリーを治めるみたいな感じになる。向こうの言いなりに次々と譲歩していくのか、頭ごなしに「バカヤロー」と一喝するのか、どっちであっても、少しも建設的な結果にならないんで、これには本当にうんざりしたんですが…。

 やっぱりメディアの責任は大きいですね。クレーマー親を作ったのは、マスメディアの影響が非常に大きい。長いこと…もう20年ぐらい前から、学校で問題が起こるたびにマスメディアは基本的に子どもと親の側に立って、学校を批判するという構えで一貫してきた。どんなことが起こっても、まず学校を批判するというスタンスでしたからね。

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