トヨタが嵌った「自動車ハイテク化」の落とし穴
レクサス、プリウス
――巨大企業に何があったのか

 トヨタ自動車が品質問題で大きく揺れている。

 ドル箱市場だった米国で昨年から続く大量リコールに加え、看板商品であるハイブリッド車「プリウス」のブレーキの不具合まで発覚し、大きなイメージダウンも避けられない状況だ。この品質問題は上向きかけた決算業績にも影響を及ぼしている。さらに一連の品質問題の背景には、一般消費者には知られざる大きな課題も潜んでいる。

 トヨタは4日、2010年3月期第3・4半期(2009年10月―同12月)の連結決算を発表。売上高は前年同期比10%増の5兆2929億円、営業利益は1891億円(前年同期は3606億円の赤字)、当期純利益は1532億円(同1647億円の赤字)だった。営業利益の増益要因は販売台数増加でプラス2100億円、原価低減でプラス1500億円、固定費の削減でプラス800億円、金融スワップなどでプラス1197億円の計5597億円。

 減益要因は円高の影響でマイナス100億円。差し引き5497億円の増益となった。各国政府の景気刺激策やエコカー減税で販売が伸びたことと大規模なコスト削減などによって業績は回復した。

 2010年3月期の通年の業績見通しも、昨年11月の予想から上方修正。売上高は5000億円を上積みして18兆5000億円、営業損益は3500億円の赤字から200億円の赤字に、当期純損益は2000億円の赤字から800億円の黒字にそれぞれ改善する見込みだ。

 大規模リコールによる生産と販売の停止の影響がなければ、営業損益も黒字化していたことは確実だ。記者会見した伊地知隆彦専務は「品質対策費で1000億円、販売減の影響で700-800億円のそれぞれ減益要因を織り込んだ見通しの数値」と説明した。

 ただ、「プリウス」のブレーキの不具合による影響は含んでいないため、今後の変動要因はあるだろう。

 米国の運輸長官がトヨタの遅い対応に不快感を示したり、米国議会の公聴会に米国トヨタの幹部が呼ばれるようになったりと、監督当局との意思疎通の悪さや情報開示の遅さなどから米国でのトヨタ車に対する不信感は強まっていることも今後、販売面で悪影響を与えかねない。

沈黙を破った豊田社長の経営手腕が試される

 米国の監督当局の強い不信感、高まる消費者からの不安の声を受け、これまで沈黙していたトヨタの豊田章男社長が5日午後9時から緊急記者会見を開き、「複数の地域、複数のモデルでリコールが発生し、多くのお客様に大変なご迷惑とご心配をおかけしましたことを心からお詫び申し上げます」と陳謝。

 そして、「多くのお客様が、私の車は大丈夫かと不安に思われているのではないかと思い、私から直接お話をさせていただく場を急遽、設定させていただきました」とも語った。

 豊田社長は、「良品廉価」など、商品を大切にする経営をトヨタ再生の軸に据えているだけに、品質トラブルへの対応は優先順位が最も高いはずだが、これまでのトヨタの動きを見ている限り、対応が遅く、お客に対して分かりやすく、親切とはいい難かった。反省すべき点もかなりあるのではないか。

 5日の記者会見でも対策など具体性には乏しかったが、今後、外部有識者らで構成されるグローバル品質特別委員会を設置する計画であり、大規模リコールの原因に加えて、社会に対する説明責任のあり方もこれで良かったのか検証すべきであろう。

 いずれにせよ、トヨタの品質力が再生するか否かについては、豊田社長の経営手腕が試される局面であり、大きな修羅場を迎えていると言えよう。

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