ユーロ圏崩壊の可能性高まる
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 ユーロ圏諸国間で、ギリシャなどの救済に関して亀裂が拡大している。9月9日、ドイツ出身のECB(欧州中央銀行)の理事が、ECBによるスペイン国債などの買い支えに反対して、任期途中で辞任することを表明した。それに先立つ8月下旬、フィンランドは、ギリシャ向け債権に関して同国から担保を徴求することを実行した。

 こうした一連の動きは、ユーロ諸国が抱える問題の深さを象徴しているといえる。EU内部で、ソブリン対象国への支援を行う、ドイツなど北欧諸国の世論が支援に対する批判を強めていることが主な要因と考えられる。それを過小評価することは適切ではない。

 むしろ、米国に対抗しうる勢力=ユナイテッド・ステーツ・オブ・ユーロッパを作ろうとする政治的意図を、根底から覆すことになりかねない亀裂に発展する可能性があるからだ。今後、そうした兆候が鮮明化すると、通貨であるユーロもさらに売り込まれることが考えられる。中期的には、ユーロにはまだ下値があると見た方が良いだろう。

構造的な問題が一段と鮮明化

 足元のEU17ヵ国を概観すると、経済基盤が相対的に脆弱で財政悪化によるソブリンリスクの高まりに悩むギリシャやポルトガル等の南欧諸国と、比較的強い産業基盤を持つドイツやオランダなどの北欧諸国とに大きく分断されている。2010年5月、ギリシャの実質的な破たんの懸念が高まって以降、ドイツやオランダなどは、ソブリンリスクに悩まされている南欧諸国を助けるために経済支援を行ってきた。支援を行う事によって、EUの結束を確保することを念頭に置いていた。

 ところが、ここへ来て、ドイツやオランダなどの世論が救済策の実施に否定的なスタンスを鮮明化している。フィンランドによるギリシャからの担保徴求が現実になり、9月初旬にドイツ出身のECBシュタルク専務理事の辞任、さらに、オランダからは、EU脱退時の手続きについての提言があった。

 こうした動きはさらに拡大することが懸念される。そうした状況が続くと、ギリシャなどに対する支援策の効果に懸念が出て、それらの諸国がデフォルト(債務不履行)に陥る可能性は高まる。それが現実味を帯びてくると、当該国向けに多額の債権を保有するEU内の金融機関の経営状況の悪化につながる。EUは、今後、ソブリンリスクの高まりと金融機関の経営問題の二つを相手にする懸念が高まる。

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