Google CEO Larry Page
ワクワクさせるグーグルが復活!? ラリー・ペイジが見据える未来(PART.2)

小さなスタートアップから世界的企業へと飛躍を遂げたグーグル。
CEOに就任した共同創設者は、同社をどこへ導こうとしているのか。

from Fast Company ファスト・カンパニー USA Text by Farhad Manjoo

データで説得するグーグル文化

 創設以来、グーグルはボトムアップの文化を満喫してきた。同社の元エンジニア、ブライアン・ケニッシュは「本当に優秀な人をたくさん雇って、何でも好きにさせよう」という考えかたが根底にあったと語る。社員、とりわけエンジニアは何に取り組むかを決めるうえで圧倒的な自由を与えられており、勤務時間の20%を新しいアイディアの考案に費やすよう奨励されていた。

 こうして生まれた製品の代表例が「Gメール」で、同社の元エンジニア、ポール・ブッカイトが01年の夏にたった1日で作り上げたものだ。彼は試作品に興味を示したほかのエンジニアも引っ張りこんで開発チームを結成した。

 グーグルでは、このような出来事がたびたび起きている。一般社員が考え出した製品には、ほかに「グーグル ニュース」や「もしかして *2」機能、そして10年には90億ドル(約7000億円)近い収入を稼ぎ出したコンテンツ連動型広告システムの「アドセンス」などがある。

 グーグルのデータを用いて答えを求める手法は、アップルにとっての斬新なデザインや、ウォルマートにとってのサプライチェーン・マネジメントのようなものだ。すべての重大な決断と、ほぼすべてのそれほど重大ではない決断の判断材料は、データによって形成されている。

 データが優位性を占めるグーグルの企業文化は、地位の高い社員が特権を振りかざすことを防ぎ、改革に対して抵抗勢力を生むことも阻む。

 そして、ペイジが最高責任者の役割を引き継ぐなかで、こうした点はますます重要になるだろう。何しろグーグルの中核的な検索アルゴリズムはペイジの名にちなんで「ペイジランク」と名付けられたくらいだから。

 そのペイジでさえ、数字の裏付けがとれなければ考えを変えるのを厭わない。グーグルの元最高情報責任者ダグラス・メリルは、こう振り返る。

「ラリーはよく、エンジニアたちのあいだを歩きまわって製品開発の様子を見ていたのですが、ときどき『ああ、それはダメだね』と言うことがありました。そうすると、エンジニアは自分のアイディアを裏付けるデータを集めてきて、ラリーに見せていました。ラリーのすごいところは、データで自分の誤りを証明されれば、それを素直に認める点です。アイディアを裏付けるデータがある限り、彼には何の問題もありませんでした。このようなラリーとの関係は、エンジニアたちの士気を大いに高めたものです」

 ペイジは数字に強く、データに対する信頼がかなり篤い。グーグルで最高事業責任者を務めるニケシュ・アローラが彼の逸話を教えてくれた。

*2 検索キーワードの修正候補を表示する機能。

「ラリーにいつだか、『12日間で9都市を回って戻ったばかりだ』と伝え、訪れた都市名を挙げたことがありました。ミュンヘン、コペンハーゲン、ダボス、チューリヒ、ニューデリー、ムンバイ、ロンドン、サンフランシスコ、という具合に。すると、彼はちょっと考えてからこう言うんです。『でも、それじゃ8都市にしかならないよ』ってね」

 もちろん、グーグルのデータに忠実な姿勢は、いつも強みになるわけではない。だがペイジがそうである以上、グーグルはそうあり続けるだろう。

 ウォール街やメディアは得てして、外向的なリーダーを好む傾向にあるが、ペイジはその型には当てはまらない。彼は、得意げに胸を張り、大胆な発言で社員を奮い立たせる、スーパーヒーローのタイプではない。ところがハーバード大学ビジネススクールの教授らがまとめた研究によると、ペイジのような内向的な人物のほうがリーダーとして成功する場合もあるという。とりわけIT業界のように、活気に溢れ、不安定で急速に変化する環境の場合はそうであるらしい。

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