オバマ政権「東アジア政策のキーマン」キャンベル国務次官補が国務副長官へ
注目の政府高官人事
〔PHOTO〕gettyimages

 バラク・オバマ米大統領は1月25日夜(日本時間26日午前)、米議会で一般教書演説(日本の首相施政方針演説)を行った。オバマ大統領は同演説で、2012年会計年度で1兆1000億ドル(約90兆円)に達する巨額な財政赤字削減に取り組む強い決意を示すと同時に、成長戦略の柱として法人税の税率引き下げを提案した。

 米メディアはオバマ演説について概ね好意的に報道したが、米下院で野党共和党が多数派を占める現実を前に具体的な改革の道筋は見えていない。

 一方、同演説で外交・安全保障分野に割いた分量は全体の2割弱であった。オバマ政権が抱える最大の外交・安保課題である中東和平問題は取り上げられず、北朝鮮とイランの核問題とアフガンの米軍撤退に個別に言及しただけだった。

 それでも日本との関係で言えば、今後のオバマ政権の東アジア政策に「変化」があるのかどうかが依然として喫緊の関心事である。

 それを占ううえで、いま首都・ワシントンDCのベルトウェイ内で囁かれている政府高官人事案は見過ごせない。焦点の人物はカート・キャンベル国務次官補(東アジア・太平洋担当)。ヒラリー・クリントン国務長官から絶大なる信頼を得ているキャンベル国務次官補は現在、オバマ政権の東アジア政策の実務責任者である。

 キャンベル氏が注目される所以は、同氏が「実務責任者」に終わらない強い野心の持ち主だからだ。それは、彼がこれまで歩んできた道を精査すれば理解できる。

 キャンベル氏はクリントン民主党政権時代の90年代前半、ハーバード大学準教授当時にホワイトハウス・フェローとして財務省にリクルートされ、先にシカゴ人脈が席巻するホワイトハウス(大統領府)の大統領首席補佐官に就任したウィリアム・デイリー元商務長官に出会う(同首席補佐官の実兄は元シカゴ市長)。

 そして、デイリー氏がビル・クリントン大統領のNAFTA(北米自由貿易協定)担当特別大使に就任、その次席大使に迎えられた。これが、キャンベル氏の政治キャリアの原点である。従って、同氏が民主党の本来の支持基盤の象徴であるAFL-CLO(全米労働総同盟産別会議)をはじめとする各労働組合に太いパイプを持っているのも頷ける。

 英オックスフォード大学で博士号(国際関係論)を取得しているキャンベル氏は、米学界にも広い人脈がある。そして、クリントン政権時代に国家安全保障会議(NSC)部長、国防次官補代理(アジア太平洋担当)を歴任。またブッシュ父子共和党政権時代には、ハーバード大学ジョン・Fケネディ・スクール準教授、戦略国際問題研究所(CSIS)副所長を務めている。

東アジア外交を担う「キャンベル人脈」

 絵に描いたスーパーエリートの道を歩んできた同氏のキャリアの中でも特筆すべきは、07年に自らがワシントンに設立したシンクタンク、新アメリカ安全保障センター(CNAS)である。ブルキッキングス研究所やCSISなど数多あるシンクタンクの中で、最近のCNASは政府に送り出す人材供給の面だけでなく、その潤沢な運営資金の面でもダントツである。

 国防総省(ペンタゴン)にあって国防政策立案の責任者であるミッシェル・フロノイ国防次官もまたキャンベル氏と共にCNAS共同所長だった。現在の同センター(ジョン・ネイゲル所長)には民主、共和両党の大立者であるジョセフ・ナイ元国防次官補(ハーバード大学教授)とR・アーミテージ元国務副長官も所属する。

 そのキャンベル国務次官補が、噂どおり、3月末にジム・スタインバーグ国務副長官の後を襲い、晴れて国務省ナンバー2に就くのは確実となった。

 沖縄の普天間飛行場移設問題の実務責任者であり、4月1日付で退任するウォレス・グレッグソン国防次官補(アジア太平洋担当)の後任が有力視されるマイケル・シファー同次官補代理もキャンベル人脈である。

 こうしたことからも分かるように、キャンベル氏がヒラリー女史の承認のもとで東アジア外交・安保政策のキーパーソンになるのである。ちなみに、ラエル・ブレイナード財務次官(国際経済政策担当)はキャンベル夫人だ。
 

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