「新・4人組」早くも内部抗争!小沢の次に消されるのは岡田だ
民主党政権、そして誰もいなくなる
菅・岡田と仙谷・枝野、4人は「反小沢」以外、同床異夢

 小沢を葬り、ひと段落かと思いきや、そうではない。マフィアの抗争と同じ。共通の敵がいなくなれば、銃口は仲間に向けられる。そのことに気づいている男がいる。撃たれる前に撃て。仙谷は動き出した。

政権たらい回しを宣言

< だが、こうして脅し文句を並べているかぎり、相手はびくともせぬ。言葉というやつは、実行の熱をさますだけだ。さ、行け、それで、終りだ。鐘がおれを呼んでいる。聴くのではないぞ、ダンカン、あれこそ、貴様を迎える鐘の音、天国へか、それとも地獄へか >

 これは、シェイクスピア四大悲劇の一つとして名高い『マクベス』中の一節だ(訳:福田恆存)。荒れ地の魔女の囁きによって王殺しを決意したマクベスは、血塗られた道に踏み出すことに恐れ慄く自分を、こう言って無理矢理に鼓舞し、ついに王を暗殺する。

 この「ダンカン」という王の名を、「小沢一郎」としてみると、何やらそれは、菅直人首相の心の叫びのようでもある。

 小沢氏の失脚により、これまで「トロイカ+α」(菅、小沢、鳩山由紀夫、輿石東各氏)で運営されていた民主党政権の実権は、「新・4人組」と呼ばれる勢力に移行した。

 「4人」とは、菅首相と岡田克也幹事長、そして仙谷由人党代表代行と枝野幸男官房長官のことだ。

 かつて自民党政権にも、「4人組」が存在した。'00年に小渕恵三元首相が倒れた際、密室で談合し、次の首相を森喜朗氏に決めた、森、野中広務、亀井静香、村上正邦各氏らのことである(青木幹雄氏を含めた「5人組」とも言われる)。

 国民に信を問うことなく、幹部のみで事を決め、政権をほしいままにする。森=菅、野中=仙谷といった具合に、民主党政権も"いつか来た道"を辿り始めた。

 ただ、自民党の旧4人組と、現在の民主の新4人組が異なるのは、その4幹部の目指すところに、大きな隔たりがあるということ。

 自分の保身が第一の菅首相。内心、それを見限っている仙谷氏。"次"を窺う岡田氏、枝野氏。そこではすでに、分裂の火種が燻り始めている---。

第1幕 王殺し

 1月14日に内閣改造に踏み切った菅首相だったが、その評価は極めて低い。

 新たに入閣したのはたった4人。しかも、そのうち3人は与謝野馨経財相や江田五月法相、中野寛成国家公安委員長といった"ロートル"だ。そして、残る一人の枝野幸男官房長官も、昨年7月の参院選大敗の戦犯だという、まさに「廃材内閣」である。

 ただ、そうした中で、なぜか妙に機嫌が良い人物がいる。官房長官を更迭されたはずの、仙谷由人・民主党代表代行だ。

 組閣翌日の1月15日は、仙谷氏の65歳の誕生日。これに先立ち、組閣真っ最中の14日午後、仙谷氏は議員会館内の自室で、親しい記者たちからマグカップなどの誕生祝いを受け取り、相好を崩していた。

「枝野が会見で緊張してた? 僕だって最初の時は緊張したよ。人間もライトも数が凄いしさ。長官は普段の会見から大変なんだ。どんな質問に対しても準備しておいて、すぐ答えなきゃいけないし。でも、そんな全部知っているわけないだろ」

 ねじれ国会の運営に苦しむ菅首相は、「小沢切り」と同時に「仙谷切り」にも踏み込んだ。仙谷氏本人は、直前まで官房長官続投を希望していたと言われる。だが、西岡武夫参院議長が烈火のごとく怒って仙谷続投を批判したこともあり、保身第一の首相は、仙谷氏を更迭した。

 しかし、仙谷氏の表情は明るい。

「大政局を起こさないと、日本の政治は変わらない。日本の政治は漸進主義というか、弥縫策の繰り返し、その場しのぎの政治が続いて来た。だから僕は、ドーンと行って、ごちゃごちゃ言ってる奴らを正面突破したいと思っていた。でもまあ、"ちょっと変わった議長"とかもいらっしゃるし、難しいね(笑)」

「解散なんて絶対にしないよ。300議席も持ってたら、世論がどんなに非難しようが解散なんてするわけない。結局、権力を持っているほうが強いんだ。もし追い込まれたら、"政権のたらい回し"をするだけだ」

 溢れ出る傲慢と自信。これが、官房長官をクビにされ失脚したはずの政治家の言とはとても思えない。

 しかし、それはそうだ。仙谷氏の後任は、"子飼い"と言ってもいい枝野氏。首相官邸は事実上、いまでも仙谷氏の完全コントロール下にある。さらには党の代表代行として、逆に自由に動き、発言し、裏工作ができるポジションを得た。

 そして何より、仙谷氏が身を引くことで、その最大の政敵・小沢氏はいよいよ進退窮まった。仙谷氏が表向き政府を去ることで、野党の攻撃の焦点は強制起訴を待つ小沢氏の動向に移った。離党か、除籍か。小沢氏は最大の政治生命の危機を迎えている。

 『マクベス』の荒れ地の魔女のように、"王(小沢)殺し"を菅首相に使嗾し、それを実行せしめた仙谷氏にしてみれば、官房長官の肩書と引き換えに、大きな果実を得たのである。

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