井上久男「ニュースの深層」
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中国企業へのパソコン事業売却を模索するNECの事情

国内トップでも世界シェアは0.9%

2011年01月25日(火) 井上 久男
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〔PHOTO〕gettyimages

 かつては「PC98」で一世を風靡し、今でもパソコンの国内市場ではトップシェアを持つNECがその事業を中国最大手のレノボに売却することで最終調整している。具体的にはパソコン事業の子会社であるNECパーソナルプロダクツにレノボから過半数を超える出資を受ける見通しであり、主導権はレノボに移ることになるだろう。レノボは6年前、米IBMのパソコン事業を買収したことで一躍世界的に注目を浴びた企業である。

 なぜ、NECが国内トップシェアを保有し、しかも黒字である事業を売却するのか。この本質的な理由を突き詰めていくと、日本の多くの企業が抱えている共通の問題点に突き当たる。

 NECのパソコンの国内シェアは約18%だが、世界ではシェアが0.9%しかなく、トップ10にも入っていない。少子高齢化で国内市場は大きな伸びが期待できないうえ、東芝や富士通など強豪メーカーがひしめき合い、量販店での薄利多売の競争になっている。国内では現状維持が精一杯であろう。

 赤字ではないが、使っている人・モノ・カネといった経営資源の分量から見れば決して効率の良い商売ではない。ROA(投下資本利益率)が低すぎる事業なのだ。赤字事業であるならば、ばっさりリストラもできるが、黒字であるがためにそれもできにくい。

 こうした事業では「既得権」意識が生まれやすく、会社の経営資源を組み替えて新しいビジネスを構築していく際の「抵抗勢力」になる。そして何よりも問題は、パソコン事業がNECには残された数少ないブランドを認知してもらえる商品であり、これを手放すと顧客への存在感がさらに低下する可能性があることも改革を遅らせる要因のひとつになる。

 過去、日本企業の事例では日産自動車が1999年に始めた「リバイバルプラン」で、赤字ではなかった航空宇宙事業をIHI(石川島播磨重工業)に売却し、将来性が見込めた自動車事業に経営資源を集中し業績を回復させたケースもある。

11人抜きで抜擢された新社長の決断

 NECを取り巻く経営環境は厳しい。このままでは「余命2年」といった見方もあるほどだ。パソコン事業は黒字でも会社全体の業績は沈む一方だ。2011年3月期連結中間決算(2010年4-9月)では大手電機メーカー8社の中で唯一、最終赤字270億円を計上している。他社が収益を回復さていたのとは対照的だった。

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