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持っていて威張れるのは、どれとどれ!?
世界ブランド力格付け

※J.D.パワー・アンド・アソシエイツ「2011年米国自動車商品魅力度調査」の結果も踏まえ、木村和久さんに個人的好みを若干含めつつ格付けしてもらった。日本で生活する視点ではなく、“世界での位置づけ"で格付け

「アストンマーチンはブランドバッグでいうと、どれくらいの格付けになるの?」とあるOLさんに聞かれた。バッグというと無印良品くらいしか持っていない担当は、もちろん即答できなかった(とほほ)。その挫折感を味わいながら「これは企画になるぞ」と始まったのが当企画。

※出典:J.D.パワー・アンド・アソシエイツ 米国のクルマ所有者7300人を対象に今年7月にブランド意識調査。1000ポイント満点、上位15までを紹介してある

 世界自動車界のブランドを格付けし(もとい格付けさせていただき)、ファッション関係では女性たちの品位の象徴(!?)ブランドバッグを格付け。格付けしてみると、クルマとバッグ、両ジャンルのブランドには意外な共通点があるかも!?

 マセラティ級のブランドバッグも判明するはずだ!(たぶん)

 ブランドの構築にはその企業の歴史や財産、商品価値や価格などが凝縮されていると思うが、今回はわりと単純、〝持っていて威張れる度合い〟を大前提として格付けをさせてもらった。 

■買収されたブランドは・・・

 さて、「クルマの世界ブランド格付け」は、経済も文化もクルマも詳しいコラムニストの木村和久氏主宰のキムラ総研に格付けをお願いした。この7月に発表されたJ. D.パワー・アンド・アソシエイツの「2011年米国自動車商品魅力度調査」の結果も踏まえ(米国のクルマ所有者を対象に調査。右の表)、木村さんの個人的好みを多少絡めつつ格付けしてもらった。

 そのクルマ格付けが上にある表だ(ズド~~ン!)。1位フェラーリから39位グループ(最下位を決めるのが難しいという理由で)、全45ブランド登場(一部企業名が入っている)。日本で生活する視点ではなく、〝世界での位置づけ〟で格付けした結果で、15位トヨタ、16位ホンダと日本の2社は単体ブランドではないが、このランクにつけている。欧米で信頼を得ている「SONY」ブランドのような位置づけといっていい。

並みいる名門を抑えてフェラーリが1 位。実用ではなく宝飾品としての悦びこそがブランド力の極みだという

 また、「資本を買われたようなブランドは厳しいけど墜ちたも同然。DNAを受け継ぐ企業運営者と設計者がいて、企業が健全であってこそのブランド力だと思いますよ。シャネルがイトーヨーカドーに買われるようなものです。長年シャネルを愛してきたファンはどう感じますか?」という木村さん。その意向に沿い、数年前タタに買収されたジャガーとランドローバー、そしてボルボも23位以下の格付けとなった・・・。

■同じブランドでも、夢の世界と現実(実用)の世界がある

かなりのお金持ちが走りを楽しむというイメージのベントレーは3位に

 それでは、クルマ格付けのなかで、いくつかポイントとなる部分を探っていこう。

「8位から上は夢の世界で、9位以下は現実というか実用の世界に生きるクルマのブランドですよね。同じことはブランドもののバッグの世界にもいえます。バッグや財布には大きく2つの方向性があり、ひとつは素材の革に厚みがあり、縫製もしっかりしている実用性のあるもの。ルイ・ヴィトンがその代表格。もう船旅でもなんでも持っていって、何回でも使える。

 逆に革が薄く、舞踏会やパーティなどのお供が似合う財布はエルメス。道具というより宝飾品の延長で実用性なんて優先順位の後。でも、ブランド力としてはこのエルメスが格上なんですよね」と木村さん。

■「心地よく走らない」ことがブランド力を磨く!?

 その〝エルメス化〟ですぐ思い浮かぶのは8位ランボルギーニという。「だって心地よく走るというクルマの一番大事なところが欠落しているもん」(木村さん)だそうだ。実用性度外視で走ることに喜びを見出し、「私を見て!」的なブランドスタンスも似ているのかもしれない。

 同じイタリアのフェラーリより歴史が浅い1949年の設立で、しかもトラクター製造会社からスタート。スポーツカーの名門、フェラーリに引け目を感じていただろうが、'60年代にそのフェラーリに対抗しようと、当時の新興勢力として大きなブランドを確立したのもランボルギーニ。

「助手席のミニスカ姉ちゃんのパンツが見えるのが〝らしさ〟で、ひとつのブランド確立といえるかも。もう一回スーパーカーブームがくると一気にランクは上がると思いますよ」と木村さんは付け加えてくれた。

名門ブランドはセールなんてなし。海外のバッタもんにはご注意あそばせ

■歴史+スポーツスピリット+所有欲でフェラーリが1位

 少し名前が出たフェラーリが格付けの1位! 1929年創立と歴史が長く、第二次世界大戦の終了と同時に自前の自動車工場を設立。そこでレーシングカーの開発に没頭するなど、スポーツスピリットが脈々と受け継がれるフェラーリ。

「威張れる度は強烈です。でも、日本の公道の乗り物じゃないですよ(笑)。運転しないほうがいいかも(笑)。フェラーリは超お金持ちが買って、運転しないで眺める。それで成立するブランドです。ビンテージものをコレクターするような感覚でしょう」とは木村さん。なるほど。これぞ宝飾品に相当するエルメス感覚の極みだろう。所有することで満足感を得られることも共通項だ。イトーヨーカドーで食材も服も賄う担当には到底想像できない世界だねぇ。

「アラブの大富豪はフェラーリ数台にレンジローバーを1台所有するらしいけど、使うのはもっぱら後者。だってフェラーリは砂漠なんて走れないもの」(木村さん)。並みいる世界のブランド強豪を抑えてトップに立ったワケもわかる。

格付け第1位のエルメスのバッグ

■「機械オタクのドイツ」など欧州は棲み分けができている

 木村さんによると、欧州車ブランドにはもともと国別で棲み分けができているという。イギリス=貴族&超金持ちか一般庶民向けのクルマしか作らない。なぜか中間層向けのブランドがない。ドイツ=日本と一緒で機械オタクの国。だからタイガー戦車やメッサーシュミットなんていう凄いものを作れる。

 フランス=クルマは白物家電と同じ感覚。石畳の道路を走るんだから、それほどのこだわりはない。イタリア=クルマをオブジェととらえがち。まず外側(ボディ)を作り、なかを作るので乗り心地とかは度外視。

人気の牙城は崩れないシャネルは3位

 そういう意味では2位のアストンマーチンは、イギリスの超お金持ち向けの象徴。設立1913年の歴史ある高級スポーツカーブランド。歴史の重みが違うし、ボンドカーとして何度も起用された付加価値もある。

「そのアストンマーチンの下にベントレー、ロールスロイスがきたのは、どうも成り金の象徴と思えるから。ベントレーはまだお金持ちが走りを楽しむクルマ好きのブランドという感覚があるけど、ロールスロイスは世界的に〝私成功したからコレを買いました〟的なブランドですよね。

 私の知り合いの美容家・山野某氏の息子さんなんて、ピンクのロールスロイスに乗ってますからね(笑)。もちろん、世界の王室向けや高級セレブ向けのモデルがあるなど風格はあるけど、ちょっと浮きすぎの感はありますね」と木村さん。それでも超庶民派の担当からすると、「安いモデルで2800万円からあります」と広報担当がサラリというロールスロイスは別次元のブランドだ。6位のマイバッハもその傾向があるが、クルマを作らない期間が長すぎ! と木村さんは喝を入れていた。

"機械オタク"の国の名門ブランド。それがポルシェだ

■最近の悪顔が伝統のブランドに傷をつける・・・!?

 8位以上は夢の世界と前述したが、5位のポルシェはちょっと例外。実用性があるし、庶民でも頑張れば手が届くボクスターというクルマもある。

「そんな生活に沿った実用グルマを出すいっぽうで、GT-2RSなんていう最高速330㎞/hの化け物も出す。こういうところが〝機械オタク〟の国の名門ブランドといえますよね」

 ベンツ、BMWは市場を見据えて小さなタイプの庶民向けモデルも作っているので、格という意味ではややダウン。その次の同じドイツの11位アウディ。

「販売台数が好調なのはいいけど、BMWの悪い影響で最近のアウディのクルマはグリルが悪顔になっていますよ。映画『トランスフォーマー』のように何かに化けるんじゃないかと思えるほど。これはブランド的にはいかがかなと思います」と木村流の警鐘を鳴らす。

さまざまな傘下や提携を経て現在はフェラーリの傘下のマセラッティ。高級サルーンは極上の香り

■同じプラットフォームなのにこの金額差。ブランドの威力?

 同じコシヒカリでも「魚沼産」と付いただけでおいしそうな気がする(実際そうなんだろうが・・・)。これと似たようなことがクルマブランドの世界ではある。そうプラットフォームの共有化。ブランド名の威厳にどうしても押され、「同じように見えるけど、名前からして高いのはやむなしかなぁ」と納得してしまうわけである。もちろん、エンジンやボディなどの大きさや質が違う場合が多いので、プラットフォームの共有とブランド力だけで価格の高い安いはいえないが・・・。

 いくつか例を取りあげてみよう。まずはポルシェカイエンとVWトゥアレグ。ともに最上級グレードでカイエンが1573万円なのに対し、トゥアレグは623万円(以下、すべての価格は最上級グレードの価格)。実に2倍以上の金額差! フロントのバッジが違うだけで、こうも金額差が出るとはねぇとつい感じてしまうのは貧乏性の悲しい性か。もっともこの金額差はブランド格付けにも表われていて、5位ポルシェ、18位VWである。相応の格付けといえるかも!?

タタからの買収により23位となったジャガー

 ボルボC30(299万円)とマツダアクセラ(214万円。最廉価なら166万円!!)というケースもある。共有プラットフォームでもクルマの質感などを考えると金額差と、格付けの25位ボルボ、32位マツダというのは順当なところか。

 続いてアウディとVWの2連発。アウディA3(463万円)に対しVWゴルフ(368万円)。アウディA1(386万円)に対しVWポロ(298・7万円)。それぞれ100万円ほどの価格差が出て、格付けが11位アウディ、18位VW。これらを総体的にみると、「もうかってしようがおまへんなぁ、アウディさん」と皮肉もいいたくなる。

 さらにトヨタiQ(173万年)とアストンマーチンシグネット(395万円)という組み合わせもあるが、こちらはプラットフォームの共有ではなくiQをベースにアストンマーチン社が仕立て直したもの。アストンマーチン社が作ったんだもの、そりぁ見た目はカッコいいけど・・・、中身はiQだからねぇ。それで2倍以上の金額を堂堂とつけられるのは、格付け2位、英国の伝統のブランド力のなせるワザか!?

■米国ではキャデラックよりレクサスのほうが格が高い

 歴史の重み=ブランド力といっていいほどブランドを語るううで年月はポイントになるが、1989年から全米で発売開始した歴史の浅いレクサスは12位だ。木村さんは語る。

「9位以下の実用性ブランドとしては、レクサスは世界で存在感あると思う。どんどん実用性の高い新しいモデルを作り続けているし、J.D.パワーの米国ユーザーの調査結果を見ても、地元米国のリンカーンやキャデラックを抜いて7位。一時期のトヨタアレルギーは払拭されたといえ、今後もレクサスはガンガン、ブランド力を高めればいいと思いますね」

 もっと歴史の浅い19位BMWミニとともに短い歴史ではあるが、着実にブランド力を発揮しているといえるレクサス。ブランドバッグ界で10位につけたミュウミュウと状況が似ている。1978年、プラダの3代目デザイナーとなったミウッチャ・プラダが発表した姉妹ブランドで、可愛らしいセンスが光る。ここ数年特に若い女性に人気がある。クルマとバッグ、探せば共通点、あるものです。

 ちなみにカツマタがレクサス関係者にブランド力を聞いたら「うちはまだまだですよ。ファッションでいえばラルフ・ローレンみたいな感じ」と極めて控えめだった。それが真相か!?
また、17位シトロエンについて。「大衆車を作り続けるいっぽうで、WRCなどのモータースポーツに出場し続けるスタンスは共感を呼びます。泥まみれになったシトロエン特有のグリルにこそ文化と走りの味わいがあり、走るたびにブランドイメージは上がるはずです」と持論を展開する。

 ・・・こうしてブランド力をみていくと、改めて歴史と伝統の重さ、質が地位を築いていることがわかる。歴史の長いものでは100年以上も続くメーカー、ブランドがある。そんななかでアウディやレクサスなどの新興勢力ブランドが巧みに割って入るような縮図になりつつあるようだ。

 担当もイトーヨーカドー生活を改めて、今日から舶来品のGAPの服に変えようかな・・・。

「大黒屋」松岡貴之店長にきいた
ブランドバック格付け事情

 時代がどう変わろうとも、1位、2位はエルメスで堅いです。3位シャネル、4位ヴィトンまではブランドバッグの世界では「スーパーブランド」といわれます。逆にジュエリーや時計は弱く、それらに強いのが15位カルティエや17位ブルガリ。なので、超お金持ちの女性はバッグはエルメス、時計はカルティエというケースも・・・。

 5位バレンシアガは去年から今年にかけて20代~アラサー世代を中心に人気です。6位クロエや8位ボッテガヴェネタは最近人気上昇中で格が上がりつつあります。質感がよく、ユーザーというより同業者からの評価が高いのは9位ロエベ。そういう意味では本物です。13位マークジェイコブスはヴィトン出身のデザイナーが作るもので、これも注目を浴びていますよ。安いアイテムをメインで売るのが20位コーチ。量販店でもよく見るのはそのせいですね。

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