激論vol.1「日本の財政破綻は本当に起きるのか」
エコノミスト、論客たちが徹底討論「2011年 どうなる日本経済」vol.1
左より岩瀬大輔氏 (ライフネット生命副社長)、池田信夫氏 (上武大学教授)、山崎元氏 (経済評論家)、長谷川幸洋氏 (東京新聞論説副主幹)、高橋洋一氏(嘉悦大学教授)

---およそ1時間で2011年を迎えようと言う大晦日の夜、エコノミスト、経営者、ジャーナリストに集まってもらい、新年の日本経済の行方を徹底討論してもらった。

 ライフネット生命副社長の岩瀬大輔さん、
  上武大学教授の池田信夫さん、
  経済評論家の山崎元さん、
  東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋さん、
  嘉悦大学教授の高橋洋一さん。

 以上の5名が2010年の総括と2011年、そして未来の明るい日本につながるお話をとことん語った。まずは司会の岩瀬大輔さんから。

岩瀬: よろしくおねがいします。最初に今年を振り返っていただいて、2010年の『私が選ぶ重大ニュース』を、みなさんにひとつずつお話いただきたいと思います。

 まず、私はありきたりですが夏に民主党が参院選で大敗して、政治がこじれ、進まなくなったことが大きいと思います。年初から期待を裏切るというか、国民の期待した変革が達成しない。内政、外交いろんな意味で動きづらい閉塞感が漂ったのかなと思います。

池田: 僕は個人ブログを書いてますが、今年のページビューを集計してみると、一番はiPhone、iPadの話だったんです。僕も持ってますし、大変売れていますが、そうした話ではなくて、それに使われる周波数の話だった。

 僕は10年くらい前から、周波数利用の不適切さをずっと問題提起してきたのですが、2010年8月に総務省が案をまとめて、2012年から割り当てが始まることになっていたんです。そして、トータルで時価1兆3000億くらいの大きな周波数の割り当てが一旦決まった。

 ところが、その割り当ては世界と違う、いわゆるガラパゴス周波数で割り当てるということだったのです。このままではiPhoneやiPadが日本で使えなくなると、私がブログで書いた。するとソフトバンクの孫正義さんがツイッターでこれを知ったようで、これは大変なことであるとつぶやきました。そして数時間後には当時の総務大臣の原口一博さんのところに伝わったんです。

 そして原口さんは翌日の囲み会見で、この周波数の割り当てはおかしいから新たなタスクフォースをつくって考え直すと表明した。ものの半日くらいで最初の案がひっくり返ったんです。半年くらい検討して、結論としては僕が書いた通りの割り当てになりました。8000億円くらいの周波数が新たに生まれたんです。

 これは僕にとっても、日本国民にとっても重大ニュースなんですが、テレビも新聞も一切報じなかった。なぜかといえば、テレビ局の電波利権に関わることだからです。このUstreamでしか報じられなかった私の大事件です。

山崎: そんな素晴らしいニュースの後に、私は何も用意してないんですが(笑)、このところニュースを見る気が起きないんですね。小沢がどうしたとか、海老蔵がどうしたとか、年寄りのチンピラと若いチンピラの喧嘩をずっとやってる。

 そんなことがニュースになっているというのも、悪いニュースがないということで、いいのかもしれません。ただ、年末にやっぱりこういうことかと思ったのは、予算を見たときです。春頃に民主党の政治家と話したとき、「民主党が政権をとって最初の予算は、半分は自民党が作ったので、次の予算こそが大事だ、今度は自分たちが作るのだからここが勝負だ」といっていたんです。しかし、結果を見ると、完全に勝負でいえば負けでしょう。

 結局、政治は何も実行力や影響力がないんだなということがよくわかってきた。政権が交代したからといって何かが変わるわけではない。1年経ってみてはっきりその答えがみえてきた。政治家が動かしているのかといえばそうじゃない。では官僚が動かしているのかといえば、誰か黒幕がいるわけでもない。

 財務省で予算の説明会を聞いたんですが、老けた東大顔の人たちが並んでました。この中に本格的な悪党はいないし、それなりに一生懸命やってるんだろうけど、これでは世の中は動かないんだろうという感じはしました。政権交代はしたんだけど、何も動かないんだと。

 今日、話し合う前からこういうことをいってはいけないのかもしれませんが、政策はああしたらいいとかこうしたらいいという話をしても、望ましい政策が実行される可能性はほとんどない。ほとんどないということを前提としてときに、世の中はどうなるんだろうと。政治はバカでも、経済は案外しぶとい。そのうえで新年のことは考えてみようと思います。

自民党も割れて、民主党も割れる

長谷川: 私はジャーナリストなので、エコノミストなんていうとみなさんに怒られるかもしれません(笑)。重大ニュースというと、いよいよ民主党に内紛の嵐が出てきたことが面白いと思ってます。

 政権につく前は、民主党は脱官僚、地域主権などを旗頭にして国民の人気を博してきたわけです。しかし菅内閣になって内閣支持率が低下してきたら、小沢さんの問題が出てきて、ガチンコの喧嘩になってきました。

 あの党はもともと綱領がないわけだけど、政策の筋は一本通っているかと思われていた。けれど、実は何もなかった。権力闘争が赤裸々になって、そういう実態がみんなの目にはっきり見えるようになってきました。

 これが一番、大きい。僕はこれはいいことだと思っています。

 実は、自民党も同じように、綱領はあるけれど、政策の軸があるようで、実はてんでんバラバラです。ある人は大きな政府、別の人は小さな政府。基本軸がない。

 だから自民党はいずれ壊れていくと思ってますが、民主党もそうだろうなと、早くバレればいいなと思っていたら、やっぱりバレてきた。この年末の騒ぎで民主党の中がいよいよ本当に割れてきた。自民党についで民主党も割れて、政界が流動化してきたことが誰の目にも明らかになってきた。これが最大のニュースだと思う。

高橋: 私は去年からビジネスをやってるんです。政策を作るという、日本で初めてビジネス。与党が完璧に経済運営すると、私らは失業になっちゃうんです(笑)。参議院でねじれになって、ねじれになるとこのビジネスは絶対にうまくいくだろうと思ってたら、うまくねじれになった(笑)。

 それで、予想通り非常に忙しくなった。半径2mくらいで考えると、あのねじれがなかったら私は大変だったんでしょう。思わぬ需要があった。個人的な話ですけど、入るものが入らない(笑)。

 少しまじめに話すと、ねじれがないと役所のほうで出てきたの政策がそのまま国会を通ります。でもねじれがあるといろんなことがおきる。だから、ねじれがあってよかったんですよね。悪い話も、いい話も全部表に出てくる。

 民主党も、ねじれになったら参院で多数を確保しようと思って最初公明党に行くわけですよね。行くんだけど、もう泥船だと見切られて、今度は社民党に行った。社民党も、別れちゃったけど、また乗るといいかもしれないといって乗りかけたけど、結局はやめた。すると今度はたちあがれ日本に行ったでしょう。

 これは予想してたんです。現代ビジネスにも書いたけど、そういう話が出るものねじれだからです。ねじれになると、地金が出てくるんですよ。私は予想してたし、ビジネスになって面白い。ねじれがあると、原稿書きには困らない。ネタがたくさんあるから(笑)。

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