企業・経営
携帯電話業界の勢力図を塗り替える「プラチナバンド」オークションは透明性を高めよ--総務省新政務三役に課せられた課題--
700MHz, 900MHzを誰にどうやって付与するのか

 こんな状況を想像していただきたい。

 ・現在、東京の都心の一等地に国が土地を保有しており、それをいくつかの借主に提供している。

 ・今回、大規模不動産開発に伴い、借主は別の土地に引越ししてもらう。

 ・引越し費用は新たな借主が負担する。 ただし、新たな借主は既存の借主に提供しうる引越し費用の多寡によって決定される。

 ・引越し費用の上限は2,000億円と定められており、もし複数の入札者の入札金額が上限価格に張り付いた場合、新たな借主は何らかの「比較審査」によって決定される。

 不動産を周波数とみなせば、上記のケースはこれから割り当てが決まる700MHz, 900MHzの周波数付与で想定される状況である。とても奇妙な制度である。最初から新たな借主には一定期間の定期借地権の金額を入札させ、そのお金を原資として、国が既存の借主の移転費用を捻出すればいい。さて、携帯電話版不動産開発はうまくいくであろうか。

携帯電話会社にとって喉から手が出るほど欲しい周波数帯

 総務省は2011年9月6日に700MHz, 900MHzへの参入希望調査の結果を発表した。それによれば携帯電話の大手4社はすべて参入希望を表明した。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000127887.pdf

 700MHz,900MHzの周波数帯は通称「プラチナバンド」と呼ばれるほど、携帯電話事業者にとっては価値の高い周波数帯で、特に最近のスマートフォンブームで周波数の逼迫度合いが増してきている携帯電話各社にとっては、喉から手が出るほど欲しい周波数帯でもある。

 この周波数の付与をめぐっては、民主党政権になって以降、オークションを導入しようという機運が高まったが、これは現在、二つの流れの中で議論されている。

 ・誰も利用していない白地の周波数帯で、新たな無線免許人を決定するためにオークションを導入すること

 筆者も構成員として参加している総務省の「周波数オークションに関する懇談会」で議論されており、現在、中間論点整理(案)が提示され、9月12日までパブリックコメントにかけられていた段階である。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000125391.pdf

 ・すでに利用者の存在する周波数帯で、別の周波数帯に移行してもらう際に、新たな免1許人を決定するために、「オークションの考え方」を導入すること

 2010年12月14日 に発表された「光の道」構想に関する基本方針では、ワイヤレスブロードバンド事業者による既存の周波数利用者の移行コストの負担に関し、オークションの考え方を取り入れた制度を創設するため、関係法律の改正案を次期通常国会に提出することが提案された。

 それを受けて、2011年3月8日に 電波法改正案が通常国会に提出され、その後、5月26日成立し、8月31日施行に施行されている。この法律の下では携帯電話基地局を開設しようとする者が、既存無線局の周波数移行に要する費用を負担することによって早期にサービスを開始することができるよう、当該費用の負担に関する事項を開設指針の規定事項及び開設計画の記載事項に追加するものである。

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