あえて「失言辞任」に異論を唱える。なぜ新聞、テレビは自分たちが知っているはずの「鉢呂発言」の事実を報じないのか本来、失言よりも問うべきは政策だ

2011年09月12日(月) 髙橋 洋一
upperline



まあ記者も言い分があるだろう。13日の国会開催を控えて、政治で盛り上がるのが見えているから、取り上げたと。たしかに、国会の会期が4日と短く、予算委員会もないので、野党から見れば、失言に飛びつく。多くの良識的な国会議員が言うように、原則として通年国会にしたらいいだろう。

白川日銀総裁のでたらめ発言のほうがよっぽど罪深い

 ただし、マスコミは政策について不勉強なところがある。鉢呂氏の失言より、日本経済にとって遙かに害悪となっている発言をしても、問題にしないのはまずい。

 例えば、白川方明日銀総裁の発言だ。各国中央銀行のバランスシート規模が拡大させ金融緩和する中で日銀だけが金融緩和をさぼり、デフレ・円高になっているという指摘がある(本コラム2010年1月8日号 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/60 本コラム2011年8月1日号)。

これに対して白川日銀総裁は、「日銀のマネタリーベースの対国内総生産(GDP)比は24.6%に達しており、米連邦準備理事会(FRB)の17.4%や欧州中央銀行(ECB)の11.5%を上回っている」とし、金融緩和が足りないとの批判について「明らかに事実に反している」と反論した。

日本は現金決済取引が多いので、以前からマネタリーベースの対GDP比は、カード決済などで現金をあまり使わない欧米より高かった。

問題はマネタリーベースの対GDP比の「水準」ではなく「変化」である。マネタリーベースの対GDP比の変化でみても、日本の金融緩和は足りない。
 

問題なのは「比率」ではなく「変化」。アメリカと比べれば一目瞭然だ

 


日銀クラブの記者は、日銀から教えてもらった話を書くばかりでなく、きちんとつっこんだらどうだろうか。

繰り替えすが失言スキャンダルなどよりも、本当に政治家や行政官の資質が問われるのは、政策なのである。

前へ 1 2 3

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ