田原総一朗×孫正義「グーグル・カーが走る時代に教育をどう変えるべきか」
白熱激論! 電子教科書は日本を救うか 最終回

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田原: 日本の自動車会社は20年後どうなるんでしょうか。 

孫: 彼らがIT自動車メーカーにならなかったら・・・。

田原: どうするとなれるんですか。自動車メーカーはどうやれば20年後に生き残れるか。

孫: シリコンバレーから、あるいは日本にいるコンピュータに詳しい頭脳を持った学生を優先的に自分の会社に入れることです。

 日本の自動車メーカーだって、アメリカのシリコンバレーの電気自動車メーカーと提携したりすればいいんです。そして、みずからIT自動車を開発していかなきゃいけない。

 20年前、30年前には、日本は車を電子部品化してドイツ車に勝ったわけです。アメリカ車に勝った。

 これからの自動車は、電子部品で勝つのは当たり前です。それ以上にITで勝たなければいけない。つまり車1台に20台入っているマイクロコンピュータを1台あたり50台にする、さらにもっと優れたチップにしてセンサーと全部連絡をし、クラウドと交信する、と進化させていかなければいけない。

田原: いずれにせよ日本の自動車会社はこのままじゃあ20年後にないですよ。なぜならば、それは中国や韓国やバングラデシュやインドで、決定的に安い車が出来ちゃうからです。

孫: そうです。これからは日本の自動車メーカーはエンジンのスピードを競うのではなくて、車のなかに入っているマイクロ・コンピュータの計算速度を競うようになります。そのマイクロ・コンピュータがクラウドと通信をする速度を競う。だから新しい自動車メーカーの速度競争は、エンジン速度ではなく・・・。そもそもね、200キロなんて出したら捕まるんだから(笑)、エンジンの速度を競うのではなく、コンピュータの計算速度と通信速度を競う。

 そもそもグーグルが今やっている新しい自動車って何かっていうと・・・。

田原: グーグルが自動車をつくってるんですか?

孫: やっているんです。グーグルが資本参加して共同開発しているんです。僕は来月、シリコンバレーに乗りにいってきますよ。

田原: どんな自動車ですか?

孫: 車を人間が操縦しないんです。ロボットカーです。ロボットがすべてを操縦するんです。

田原: 人間はどうしているんですか?

孫: 法律上は一応、運転免許を持っている人が乗っていなきゃいけないので乗っているんだけれど、腕組んでいる。

田原: 薬屋さんみたいなもんだ。

孫: え?

田原: 薬屋さんは、薬剤師の資格を持っている人がいないと薬屋を営業出来ない。でも座ってりゃあいい。

孫: ははは(笑)。だから運転手も腕組んで、コーヒー飲みながら、本を読みながらでいい。車のなかにあるコンピュータが並列処理で、200個くらいある高速カメラ、レーザーカメラが360度スキャンする。通りすがる相手側の自動車、横切るおばあさん、信号、曲がり角、下り坂上り坂全部をコンピュータの目がブワーッとスキャンしながら、それで目的地に交通渋滞を避け、ブレーキも掛けたりする。

 この自動車、グーグルが6台かな、常時走らせて、グーグルマップのストリートビューの画像はそのロボットカーで撮影していっているんです。

コンピュータは最後、二束三文になる

田原: 僕は車の運転手っていうのは最後まで残る筋肉労働だと思っていたけれど・・・。

孫: 違います。人間がクルマを運転すると交通ラッシュの時でも7%しか道路を有効活用していないんですよ。ラッシュの時ですら、道路って93%は空き地なんです。それは人間が非効率的な、しかも事故を起こすような間違った下手くそな運転をやっているからです。

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 これが人間の運転手を排除して、ロボット運転自動車だけになったらどうなるかというと、交通ラッシュがなくなって、常に事故を起こさないでシューっと同じ速度でガーッと行く。曲がり角も効率よくピャッと曲がる。で事故を起こさない。

田原: 高いんじゃない、値段は?

孫: 高い。今めちゃくちゃ高い。今売っていないですよ、高すぎて。

田原: 将来は安くなる?

孫: コンピュータですから最後は二束三文になる。コンピュータ・チップというのは最後は砂ですから。一回設計してしまえば、コピーなんです。

田原: 今日ここにきている先生たちに申し上げたいのは(この対談には観客として教育関係者150人を招待しました)、今ある大企業が20年後に今のままではほとんどなくなるということです。

孫: そうです。だから日本の自動車メーカーだって、まさにグーグルカーと闘わなきゃいけないわけです。

 電気自動車も大事だけれど、電気自動車だって台湾勢、韓国勢、中国勢に抜かれますよ。だってパソコンで使っている電池を積んでいるわけですから。モーターだってピュッと組み合わせたら出来るでしょう。そういうパソコンの組立と同じように自動車も組み立てられる。

 だから大事なところは、組立業ではなくて、今言ったロボットカーのようにインテリジェンスのコンピュータで勝負するという時代になったということです。

田原: 肉体労働で勝負しようとするならバングラデシュ並みの給料になっちゃう。それが嫌だったら肉体労働じゃない、インテリジェンスで勝負しようと。こういうことですね?

孫: そうです。だからね、今すぐ電子教科書だIT国家だというと、「それを使えない人たちは落ちこぼれて、どうしますか」という質問が必ず出るんだけれど、いやいや、30年後の日本の中心的労働者を育てるために今の10歳、7歳、15歳を教育しましょうということです。30年なんてすぐくるんです。20年なんてあっという間です。

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