中国
「月餅税」の導入で中秋節の中国各地は大荒れ
国民の度肝を抜く新税の登場はそれでも止まらない

丸くかたどった月餅は、一家団欒の象徴〔PHOTO〕gettyimages

 9月12日は、中秋節、すなわち旧盆である。3連休となった中国では、一年で一番美しいとされる中秋の名月を拝みながら、月餅を食べるのが、昔からの慣わしだ。丸くかたどった月餅は、一家団欒の象徴であり、今年も大小、高安、様々な種類の月餅が、店の軒先を飾った。

 中国では、日本で言う「お中元・お歳暮」のように、日ごろお世話になっている人々に月餅を贈る習慣があり、役所や企業でも、社員に「月餅セット」を配り、日ごろの労をねぎらった。

 だが今年、中秋節に'異変'が起こった。おそらく悠久の中国史上初めて、「月餅を食べたくない」という中国人が現れ、全国各地で「月餅拒否運動」が勃発したのだ。その原因は、「月餅税」なるものが導入されたからである。

 国家税務総局の主張によれば、サラリーマンや役人にとって、時価数百元(数千円)の月餅を会社(役所)から配られることは、数百元の所得増を意味する。ならばこの所得に対し、所得税法に基づいて、所得税をかけるというわけだ。

若年層を直撃した新税

 折りしも、9月1日より新所得税法が施行されたばかりである。最高税率が45%にハネ上がった高所得者層にとっては、500元(1元≒12円)の月餅に225元の「月餅所得税」が課せられたとしても、痛くも痒くもないだろう。問題は低所得者層である。今回の所得税法改正の最大の目玉は、「月給3500元以下の低所得者層の所得税を撤廃する」とした点にある。

 なぜ3500元を所得税納付の下限としたかと言えば、大都市のほとんどの新卒の社員の初任給が、3500元以下だからである。中国は今年7月、約650万人の大学生が卒業したが、就職率は悪く、志望した会社に入れた学生など、ごく僅かである。このため、「大学は出たけれど」と、卒業生の不満(プラス一人っ子を育てた両親の不満)がたまっている。 

 こうした不満を和らげるために、共産党政権は、「寛大なる措置」を施したというわけだ。しかも当初は、「3000元を下限とする」という原案を発表しておきながら、土壇場になって下限を500元引き上げるという'演出'まで見せた。

 だが今回、3000元の初任給(中国は9月入社)を手にした新入社員が、会社から500元の月餅を支給されたとしたら、所得は3500元となり、3%の所得税が課せられる。そのため、「そんなことなら月餅なんか要らない」という若者が続出したのだ。

 このように全国の若者の怒りが沸々と沸き上がる中、国家税務総局47号公告「個人の所得税に若干の問題を規定した公告」が、インターネットを通して流布した。これによると、通常年に1回のボーナスも、12ヵ月で割って毎月の給与の中に繰り込んだ形で所得税を徴収するという。

 この措置が施行されれば、たとえば月給が3000元でボーナスが5000元という典型的な新入社員は、本来なら5000元のボーナスに対して税金がごっそり取られるところを、月給にならすと3416元となり3500元の下限を超えないので、給与に加えてボーナスも無税となる。つまり、月餅税の怒りを和らげるお上の寛大なる措置というわけだ。

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