北京のランダム・ウォーカー

「月餅税」の導入で中秋節の中国各地は大荒れ
国民の度肝を抜く新税の登場はそれでも止まらない

2011年09月12日(月) 近藤 大介
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丸くかたどった月餅は、一家団欒の象徴〔PHOTO〕gettyimages

 9月12日は、中秋節、すなわち旧盆である。3連休となった中国では、一年で一番美しいとされる中秋の名月を拝みながら、月餅を食べるのが、昔からの慣わしだ。丸くかたどった月餅は、一家団欒の象徴であり、今年も大小、高安、様々な種類の月餅が、店の軒先を飾った。

 中国では、日本で言う「お中元・お歳暮」のように、日ごろお世話になっている人々に月餅を贈る習慣があり、役所や企業でも、社員に「月餅セット」を配り、日ごろの労をねぎらった。

 だが今年、中秋節に'異変'が起こった。おそらく悠久の中国史上初めて、「月餅を食べたくない」という中国人が現れ、全国各地で「月餅拒否運動」が勃発したのだ。その原因は、「月餅税」なるものが導入されたからである。

 国家税務総局の主張によれば、サラリーマンや役人にとって、時価数百元(数千円)の月餅を会社(役所)から配られることは、数百元の所得増を意味する。ならばこの所得に対し、所得税法に基づいて、所得税をかけるというわけだ。

若年層を直撃した新税

 折りしも、9月1日より新所得税法が施行されたばかりである。最高税率が45%にハネ上がった高所得者層にとっては、500元(1元≒12円)の月餅に225元の「月餅所得税」が課せられたとしても、痛くも痒くもないだろう。問題は低所得者層である。今回の所得税法改正の最大の目玉は、「月給3500元以下の低所得者層の所得税を撤廃する」とした点にある。

 なぜ3500元を所得税納付の下限としたかと言えば、大都市のほとんどの新卒の社員の初任給が、3500元以下だからである。中国は今年7月、約650万人の大学生が卒業したが、就職率は悪く、志望した会社に入れた学生など、ごく僅かである。このため、「大学は出たけれど」と、卒業生の不満(プラス一人っ子を育てた両親の不満)がたまっている。 

 こうした不満を和らげるために、共産党政権は、「寛大なる措置」を施したというわけだ。しかも当初は、「3000元を下限とする」という原案を発表しておきながら、土壇場になって下限を500元引き上げるという'演出'まで見せた。

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