企業・経営
ビールメーカーは「子供用のビール」を開発したらどうか

ノンアルコールビールの
「テレビCM放送中止」に思う
朝日新聞1月8日

 ノンアルコールビールが些か可哀想な目に遭っている。

 1月8日の『朝日新聞』朝刊の記事によると、2009年春にキリンフリーを発売したキリンビールが、昨年の春に妊婦が公園でフリーを飲むCMをテレビで流したところ、NPO法人アルコール薬物問題全国市民協会からの苦情を受けて、このCMの放映を中止したそうだ。5月の母の日に予定していた産院で商品を配るキャンペーンも取りやめたというのだ。

 同協会によると、妊娠・授乳期は飲酒習慣を断つチャンスなのに、ビールの代替物を飲み続けていると、また酒を飲む生活に戻ってしまう、というのが理由らしい。この理由に関しては、依存症を断つという目的を考えると、一定の理解はできる。

 ビール会社としては、もともと主力製品がアルコールを含むビール及びビール類似飲料なのだから、このNPOの主張をよく我慢して受け入れたものだと思うが、キリンビールはそれだけ大人の会社なのだろう。

 もっとも、ビール会社の立場に立つと、余計な反発を買って、有望な新商品に横槍が入るよりも、商品を当面静かに浸透させる方が得策だと考えたとしたのならば合理的な判断だと思う。

 ノンアルコールビールはビール大手4社から製品が出ているが、味の上では、まずまずの水準に達してきたように思う。もともと酒飲みである筆者は、昨年、ふと思い立って全てのアルコール・ゼロビールを飲み比べしてみたが、何れも、飲み物として満足なレベルにある。

 かつての、ビールからアルコールを減らした低アルコール・ビールよりも美味いのではないだろうか。ちなみに、筆者の個人的な好みは、甘みや果実味などのノイズが少なくてドライで苦みのはっきりした、サントリーのオールフリーだ。

 酒飲みでもちろん成人でもある筆者であっても、他人と会う前に赤い顔をしていたくない場合もあるし、夜中の原稿書きなどの際に眠くならない飲み物が欲しいと思う場合もある。

 各製品は何れも低カロリーでもあり、体重管理の上でもいい。味についてはもう一段階の改良を各メーカーに是非お願いしたいところだが、今のレベルでも、食事の際の飲み物として何とか使えるレベルにある。

コーラやファストフードのほうが有害ではないか

 しかし、ノンアルコールビールでさえこうした反発があるなら、もっとまずい飲料や食品が他にもあるのではないかとも言いたくなる。たとえば、コーラやファストフードのハンバーガーなどを飲み食いする習慣は、ノンアルコールビールよりもずっと体に悪いのではないか。個人的な趣味の領域だが、味覚的にも優れたものとは思えない(子供には与えたくない)。

 コーラに関しては、かつてスティーブ・ジョブス氏がペプシコーラのCEOだったジョン・スカリー氏をアップル社にスカウトしたときの言葉が忘れられない。ジョブスは「あなたは、これから一生砂糖水を売るつもりなのか」と言ってスカリーを口説いたのだった。

 このエピソードを知って以来、筆者の頭にはコーラは砂糖の多い有害な飲み物として印象づけられている。

 巨額の私財を社会貢献のための財団に寄付した米国の投資家ウォーレン・バフェット氏もコカコーラ社の大株主であったことを思うと(砂糖水でもうけた男だ)、寄付行為自体は尊敬するとしても、個人的な印象に一点の曇りを覚える(そういえば、ジョブス氏のライバルだったビル・ゲイツ氏はコーラの愛飲者だ)。

 ファストフードのハンバーガーについては、私が出演していたテレビ番組で、北京オリンピックの選手村の食堂が「選手の健康を考慮して、食材にも気を遣っている」と紹介された際に(中国の食材の安全性が問題視されていた頃だった)、食堂内に大手のハンバーガーチェーンの出店があったのを見て、思わず「体に悪いものもあるではないか!」と声が出たことがある(幸い、音声はオフになっていて、電波には乗らなかったが)。

 本題に戻ると、これらの商品に比べるとノンアルコールビールは健康にもいいので、是非発展して欲しい。

 もちろん、商品の選択や商売としての宣伝行為は基本的に自由であるべきだ。コーラやハンバーガーのCMが野放しなのだから、ノンアルコールビールの宣伝に圧力が掛かるとすれば公平を欠く。

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