さあ増税、新聞だけ特別扱い?
大新聞が「野田歓迎」の理由

ぶち抜き大特集
「遺恨と怨念」愚かなる民主党政権の最終章
〔PHOTO〕gettyimages

お祝いムード一色

「今の政治が必要としているのは、対立より協調、攻撃より融和だ。ここに野田氏選出の積極的な意味がある。(中略)短兵急ではなく、じっくりとこれらを解決していく政治を野田氏には期待したい」(毎日新聞)

「野田氏の代表就任と新たな政権発足を、『何も決められない政治』から脱却するための好機としなければならない」

「野田氏はまた、震災復興の財源について『将来世代に先送りせず、今を生きる世代で連帯して負担を分かち合う』と唱え、他候補が否定した臨時増税を明確に主張した。これも現実的な判断だ」(以上、読売新聞)

「(野田氏選出の)最大の勝因は『野田氏らしさ』ではないか。それは候補者の中でただひとり、復興増税に賛成し、税と社会保障の一体改革でも、政府の消費増税の方針の堅持を明確に唱えたことだ」(朝日新聞)

 野田氏が民主党新代表に選出された翌日。新聞各紙は、「野田新総理誕生」をこんな好意的な論調で歓迎した。これは一体なぜなのか。新政権誕生直後ぐらいは、ちょっとぐらい褒めてあげたい、という気持ちなら分からないではない。しかし、大手新聞が野田氏に好評価を与えるのには、単なる「お祝いムード」とは別の理由があるようだ。

 まず単純に、「野田氏はマスコミ受けがいい」ということが考えられる。

「菅内閣のときから、野田さんは報道関係者の間で評判がよかった。その理由は受け答えのよさにあります。たとえば同じ閣僚でも、金融担当大臣を務めた自見庄三郎氏は記者会見のときに常に官僚を横に従えて、記者から複雑な質問が飛ぶと、自分で答えるのではなく、官僚を呼んで資料を確認してから答えていた。一方財務大臣だった野田氏はほとんどメモも見ずに自分の言葉で答えようとしていた。その姿勢が記者にも受けていたのです」(全国紙・財務省担当記者)

 報道陣のぶら下がり取材に対してぶっきらぼうな返答しかできず、記者の間で評判の悪かった菅直人前総理にたいして、野田氏は新代表選出直後から積極的にぶら下がりに応じるなど、「サービス精神」を見せている。この姿勢が好意的な報道につながっているのではないか、とこの記者は分析する。

 また、小沢一郎元代表と一定の距離を置いていることも、各紙が「野田支持」を打ち出す理由のひとつだろう。東日本大震災復興構想会議委員を務める、元朝日新聞アメリカ総局長の高成田享氏が指摘する。

「これまでほとんどの新聞が小沢氏と距離を置き続けてきましたから、仮に小沢系の海江田万里氏が選ばれていたら、新聞は『小沢傀儡』と厳しい論調になったでしょう。小沢系ではない野田氏が選ばれ、安堵感が広がったのではないか」

 確かに、8月30日の記事の中には「もし投票権さえない人物に操られる政権が誕生したら。もし野党との約束事をほごにしかねないリーダーにしてしまったら」(毎日新聞)など、「小沢傀儡政権が誕生しなくてよかった」という新聞社の本音が垣間見える。

 しかし、新聞各紙が野田新総理を歓迎する最大の理由は、実は別のところにあるのだ。

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