大学教員の品質管理に大きな役割を果たすテニュア制度
厳しい審査を巡って様々な事件も

テニュア制度とは、主に米国やカナダの大学で採用される雇用制度〔PHOTO〕gettyimages

 前回の連載で、アメリカで企業が大学を評価している背景には、大学教員の品質管理があると書いた。品質管理に大きな役割を果たしているのがテニュア制度である。テニュアとは大学が教員に保証する終身身分保障権のこと。リストラのメッカ、アメリカで終身身分保障権とは意外な響きかもしれない。大学が発行する終身身分保障権を手に入れるための、研究、教育、雑務すべてにわたる、激しい競争がアメリカの大学教員の品質管理になっているのだ。

 テニュア制度とは、主に米国やカナダの大学で採用される雇用制度である。研究、講義、雑務をバランスよくこなす教員を厳しい審査で選抜し、大学側が、学の自由と独立を保証する、終身身分保障権を与える制度である。

 テニュアを獲得するためには、まず当たり前だが博士号を取得する必要がある。博士号さえ持っていないものが"教授"を名乗る日本の大学制度とはここは違う。

 博士号を取得した後、テニュア候補生として大学に採用されねばならない。今ここが厳しい。専門によっては有能な学者が就職に苦労している。知人で日本政治の専門家は、日本政治というだけで就職先がなく苦労していた。別の日本政治専門の知人は、土壇場で韓国政治に趣旨替え、結果彼女は見事名門大学に就職。その講座は韓国政府系の財団からの寄付で成り立っていた。名門大学で韓国専門家をコツコツ増やすために努力続ける韓国政府に比べ何もしない日本政府。その差はボディブローのように徐々に効いてくるだろう。

 テニュアの選抜は、テニュア対象として採用された教授が4、5年間働いた頃から始まる。その頃から、所属する学部のテニュア審査委員会がテニュア候補生としての評価を始める。まず学部が情報収集を始める。教育、研究、雑務を評価し、学部としてテニュア候補に推薦するかどうか投票にかける。ウエイトは大学によって違う。研究重視の大学なら研究のウエイトが高まり、教育重視の大学なら授業の評価重視となる。

 特に研究実績をめぐる競争は激しい。論文の生産量。その品質すべてが問われる。その評価制度が確立している点がアメリカのすごさだ。各専門分野にすでに専門誌があり、それら専門誌にいかに数多く採用・掲載され、それがいかなる評価を世界中の同分野の専門家から受けるかが評価される。科学、歴史、経済、政治と各分野での専門誌は、掲載基準も厳しく、掲載されれば世界中の専門家から手厳しい評価を受ける。もちろん、授業内容も、学部の同僚や先輩そして生徒からも厳しく評価される。

 それらを厳格に評価され、テニュア候補生の学部からの推薦が決まると、次はテニュアレビュー委員会にかけられる。この委員会は通常、他学部の教授や学部長たちで構成される。この委員会で再び研究実績や授業内容が、テニュアを与えるにふさわしい決定さがなされた後、また関門がある。最後に、総長や副総長そして評議委員会らにテニュア受理を承認されねばならない。