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児玉龍彦教授激白「国民総出で妊婦と子供を守れ!」
原子力行政を批判し、除染活動を続ける
東大アイソトープ総合センター長に密着
児玉氏は、実際の除染作業をできる限り地元企業に任せることで、被災地での雇用の創出をと考えている[PHOTO]蓮尾真司(以下同)

「私は、今こそ、子供と妊婦が安心できる日本の国土を作ることに日本国民が全力を挙げる時ではないかと思っています」

 おだやかな笑みを湛えていた児玉龍彦東京大学アイソトープ総合センター長(58)は、そう言うと一転、険しい表情になり語気を強めた。本誌は8月27日、福島県南相馬市原町区にある2ヵ所の保育園で放射線量の調査と除染指導を行った児玉氏に同行し、話を聞いた。

 児玉氏は、5月の下旬に初めて南相馬市を訪れて以来、今もなお、ほぼ週に1回というペースで同市に入り、放射能汚染の実態調査に加え、コケ・泥の除去や高圧水による現地の除染作業を進めている。児玉氏といえば、今国会中の7月27日に開かれた衆院厚生労働委員会で、政府の放射能汚染への施策の不備に対し猛抗議をした姿が被災者を中心に共感を呼んだ。その時、彼はこう声を荒らげた。

「現在、警戒区域や緊急時避難準備区域の分け方は(福島第一原発を中心とした)同心円を基本としていますが、それではまったく意味がないのです。もっと細かく測らないと意味がない。現在、南相馬市では、原発に近くても比較的線量の低い地域から、遠くても線量の高い地域へ子供たちを通わせているのです。むしろ危険になっている。その考えの根底にあるのは、強制避難でないと補償しないという東電と政府の答弁です。補償問題と子供の問題は分けて考えて下さい」

 被災地の現実から目を背け、机上での補償費用の問題にのみ終始する東京電力と政府の姿勢を真っ向から批判したのだ。

 児玉氏のこの憤りは、放射線量調査と除染作業の中で国がいかに子供や妊婦といった弱者を軽視しているかを身に染みて感じたことによって醸成された。

 児玉氏は本誌にこう語る。

「現行の法令は、生活環境中の除染を規定していません。私たちは、現地で住民の方が扱うのにふさわしくない高い放射線量のものを東京に持ち帰って分析しています。それらにはアイソトープ施設で認可を受けていないテルル129m(ベータ線を出す)なども入っており、それらを持ち込むことが脱法行為に当たることは事実です。しかし、現実にそぐわない法律に従っていては、妊婦と子供を守ることができないんです」