原口一博×郷原信郎 菅政権を語る 第1回「仙谷官房長官”改革の情熱”はなぜ消えたのか」
民主党政権の内幕を知る二人がホンネを語った

郷原: もう6~7年前になりますか、私が長崎地検から東京地検に異動になって、私が「長崎の奇跡」と言っている自民党長崎県連事件などをやった後のことです。

 ちょうどその時期にある人を通じて、当時、民主党政調会長をされていた仙谷さんと知り合いになり、いろいろ話しをするようになった。それから間もなくだったと思いますけども、確か六本木で昼食をご一緒したんですね。

原口: はい、鮮明に覚えています。お昼ご飯でした。

郷原: いろいろお話しをした。その後、直接原口議員から頼まれていろいろ関わったこともありました。でも、どちらかというと私は仙谷氏からいろんな協力を求められて、いろんな案件に対応してきたんです。その当時、ある意味ですごく純粋だったような気がするんですね。日本には改革が必要だと、その改革を大いに語り合ったような印象が残っていますね。

原口: 仰るとおりです。あの時、私たちはマーケット・アビューズ、独禁法を変えようということも一生懸命考えていたわけです。

郷原: そうでしたね。

原口: その中でも、先生は地検をお辞めになって、その後の話もありました。一番最初にお会いしたのはまだその前・・・。

郷原: まだ法務検察組織にいたときですね。

原口: 法務検察組織の中ですね。それにしても、日本の問題点がどこにあって、そこをどう変えなきゃいけないっていうのは、非常に熱くお互いに議論した。私は議員会館で仙谷さんの隣の隣の部屋だったもので若い頃から引き上げていただいて、菅政権になる前も一生懸命にやってきたんですね。

郷原: 最初の案件が確かに独禁法の改正でした。あの時、郷原さんは確か独禁法の改正の問題に直接関わられていました。

原口: 私がPTの座長で、独禁法改正の民主党案をいろんな学者や実務家の方にお話しをいただいた。その中でも先生は傑出した*リニエンシーの考え方を打ち出した。

*リニエンシー:公正取引委員会の調査前に違反行為を申告すれば課徴金などが減免される制度

郷原: 独禁法の問題は公取にいたときから個人的にもずっと研究をしていまし。私は公取の打ち出していた独禁法の改正の方向に対して、かなり反対の意見を持っていましたから、民主党に頑張っていただきたかったんですね。公取の案に対抗した、しっかりとしたものを是非対案として作っていただきたいということで、私もいろいろご協力をしました。

 あの時は仙谷さん自身も水面下で保岡(興治)前法務大臣(当時)といろんな話をして、妥協案を作られることに関して相当密接にお話しした記憶があるんですね。

原口: 仰るとおりです。法令遵守=コンプライアンスという考え方では、それこそ先生の論文の中にもありますけども、単に虫だけ捕ってもその構造は残るっていうことになりかねない。あの頃、官製談合もそうですし、独禁法もそうですけど、ずいぶん先生のご本を参考にさせていただきました。

郷原: あの時に民主党で作られた対案が、その後の改正にずいぶん大きな影響を持ちましたね。

原口: 大きく関わってます。

郷原: 事後審判制度にすることが突然出てきて、これは絶対に後で問題になる、とんでもない制度だということで、民主党案ではそこを除外した案を作ってもらった。あの時は仙谷さんもずいぶん喜んでおられましたね、立派な対案が出来たと。

原口: 新しい時代の、新しいパラダイムを引き出す案が出来たということで、仙谷さんに褒めてもらった経験があります。

偽メール事件の教訓を活かしていない

郷原: その後です。例のメール問題があって・・・。

原口: そうです。

郷原: あの時、民主党が危機的な事態に陥りました。あのメール問題に関しては、民主党の党内での調査チームとは別に、弁護士による徹底した調査が行われたんです。私は仙谷さんから徹底した調査をやりたいっていうことで依頼を受けて、確か赤松(幸夫)弁護士に話を繋いだ。いまの民主党の幹部のほとんどがヒアリングを受けたんだと思いますね。

原口: 私も受けました。実際に永田(寿康 元衆議院議員)さんがお話を聞いた7割は、いま振り返ってみると本当でしたね。ただ3割の部分で踊らされた。そして彼は亡くなるわけですけども、本当に民主党にとっても危機的な状況でした。

郷原: あの時に私は、政党としてまず民主党は責任野党にならなければいけない、そのための私なりの政党コンプライアンスというのを考えて、ちょっとした論考をまとめて仙谷さんにお送りしたんですね。

 ただ残念ながら、その後そういうまず責任野党に、それから与党にというステップを、十分に民主党の本体が踏んできてないような気がするんですね。

原口: 私もあの論文を熟読しました。ある意味私も当事者であったわけです。やっぱり危機の時にどうするか、危機対応をどうしていくのか、それは政権政党であれば尚更ですが、500日プランを岡田さんの下でつくった。

 政権をとって1ヵ月後、100日後、何をするか全部決まっていたわけです。しかしそれは必ずしも実行には移っていません。

郷原: あの中で一番民主党として反省しなければいけないことは、最終的なアウトプットを行う上での事実の詰めが非常に甘かった、しっかりした調査の検証を行わないまま、ああいう質問をしてしまったことにあるわけですね。

 あの時の民主党を代表する立場の人も含めて、前原さんらも含めて、経験として教訓として活かしてもらわないといけないと思ったんです。残念ながら最近のいろいろな問題を巡る動きを見ていると、メール問題の反省が、いまの民主党政権、民主党の幹部に十分活かされていないような気がするんですね。

 やはり、まず事実を基本的にしっかり見通しを付けてから、それから重要なアクションをしていくということが、あれほど重要だと感じないといけない問題はなかった。それがますます最近、そこは後で詳しくお話しすることになると思いますけでも、そこがフワフワフワフワした状態のまま事が進んでいるような気がするんですね。

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