田原総一朗×竹中平蔵対談VOL.3「日本にプロの経営者を育てよう」
政府も企業もガバナンスが必要だ

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田原 竹中さんは菅首相と会ったことがあるんですよね?

竹中 大分前ですけどね、会いましたけども。

田原 会ってどうでした?

竹中 会ってお話はしましたけども、一方的でした。

田原 どういう一方的?

竹中 ご理解いただけたかどうかよく分かりません。多分そうじゃないでしょう。

田原 1回きりってことは・・・。大阪大学のへんな学者とばっかり彼は話してる。

竹中 やっぱり政治家は自分で判断しなきゃダメです。田中角栄さんの有名な言葉があって、田中角栄さんが初めて大蔵大臣になったときに、

「俺は難しいことは分からん。 だから大臣室のドアを開けてるから、みんな入ってきていろいろ言ってくれ。みんな聞く。その代わり最後の判断は俺にやらせてくれ。あなたたちと違って私は政治家で修羅場をくぐっているから判断は私にやらせろ」と。

 それでいいんですよ。そんな細かいことを分かる必要はありません。

田原 言っちゃ悪いけど日本の大企業の経営者がほとんどそうじゃないかな。それは政治家の問題だけじゃないですよ。

 日本の競争力が90年の第1位から27位に落ちた大きな原因は、日本の大企業、一部上場企業の経営者にあると思う。経営者が自分で決断できないんですよ。

 会議ばっかりやる。会議ってのは責任の分散です。例えばユニクロの柳井(正)さんなんかは、そんなの嫌いかも知れないけど。

竹中 いや、彼はすばらしい方ですよ。

田原 あるいは楽天の三木谷(浩史)さん、あるいはソフトバンクの孫正義。彼らの特徴は何か。例えば柳井さん、これやろう、変えようと思うと、前の晩に役員に全部電話する。

 で「いいか、明日の夜会議で決める。これがいいか悪いから、徹夜でもいいから調べろ」と。「アメリカに行ってもいい。向こうから電話参加でもいい。やれ」と、1日で決めちゃうんですよ。ところが日本の特に大企業の経営者って、物事を決めるのに数ヶ月、半年、1年かかるでしょ。

ファーストクラスでアドバイザーを呼ぶインド大財閥のCEO

竹中 私、実はインドのある大財閥の経営者のアドバイザーをやってます。その人は1年に2回、ムンバイにある自宅に私、アメリカから前の大統領の経済諮問委員長のフェルドシュタインさん、あるいはイギリスから中東専門家などを招いて、5人くらいで朝から晩まで話し合いをするんです。

田原 なんの話をするんですか。

竹中 彼は大企業ですからいろんな情報が上がってくる。しかし最後は自分で決めなくきゃいけない。自分で決めるに当たって自分の中に、アメリカ経済はどうなっているか、アジアの経済はどうなっているかという一つの頭を作っておかなきゃいけないと。

 そのためにファーストクラスの往復とすごい待遇で私たちを1日呼ぶ。そういうのを年に2回やる。これがCEO(最高経営責任者)です、本当の。申し訳ないけど、日本でそういうCEOはいないと思います。

 日本で政治だけが悪くて、民間だけがいいなんてあり得ません。日本は政治も悪いし、ジャーナリズムも悪いし、民間も悪いし、学者の世界も悪い。世界のものすごい競争の中ですべてが劣っているという謙虚な反省は必要ですよ。

田原 もう一つ、アメリカの場合は経営者は経営者なんですよね。優秀な経営者をどんどんスカウトしますね。日本の大企業の経営者は新入社員から入って・・・。

竹中 仰るとおりです。

田原 つまり新入社員が歳をとったのが経営者なんです。例えばトヨタだってもし社長がダメだからといって、他からスカウトすることをしない。どうしてそうなるんですか。

竹中 おそらく単純には終身雇用、年功序列の延長線にあるんだと思うんです。今のご指摘はまことにごもっともで、私はダボス会議のボードメンバーをやってますけども、そこにインターナショナル・ビジネス・コミュニティという、ものすごい世界の大企業のCEOだけが集まる会議があるんですよ。そこに来る人はみんなプロのCEOなんです。

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