藤田晋サイバーエージェント社長「どうやって利益を得るかは流行ってから考えればいい。最初のリードが肝心です」
見城徹氏との共著『憂鬱でなければ、仕事じゃない』がベストセラー

 ---藤田さんにとって、ビジネスのコミュニケーションでの必勝法はありますか?

「必勝法はないです。基本的に僕が大事にしているのは自然体。仕事だから身構えるというわけではなく、常に一人の人間として自然体で接するということです。見城さんの言葉で、『大事なところは正面突破だ』というものがありますが、まさにその通りだと思います。一番大事な場面で虚勢を張ったり、変化球を投げてくる人は信用されないし、信用できません。

 だからと言って、常にバカ正直に正面からしかいけれないのでは困る。ビジネスには駆け引きも必要ですからね。しかし、ここぞという時に正面からぶつかることが出来る勇気が必要だと思います」

 ---会社を経営する中で、信頼していた人に裏切られることはありませんでしたか?

「僕にはそもそも、裏切られるという感覚がありません。自分が甘かったのだと反省するのみです。他人に依存しているから『裏切られた』という気持ちになるのでしょう。どんな事態が起きても自分が何とかするという気持ちがあれば、裏切られたなどとは思いません。特に僕のような経営者は、他人に依存していてはいけないのです」

 ---藤田さんのような経営者に憧れて起業を志す若い人も増えています。そのことはとてもいいことだと思います。でも、彼らと話すと、社会起業やベンチャーについて夢は語りますが、たとえば資金調達、あるいはマネタイズの方法については具体性がない人も多い。起業や会社経営をきれい事で考えている人も多いのではないでしょうか。

「そうですね。たしかに、資金調達に対する認識が甘いのは感じます。僕は起業した当初は、言葉は悪いですが悪魔に魂を売ってでも会社を潰してはいけないという覚悟でやっていました。その覚悟がない人はいま生き残っていませんよ。

 その頃と比べると十数年たった今は、少しはライトになった気がしますね。起業したばかりの頃は、資金面がなんとか回るケースも意外と多いので、それが若い人たちに誤解を与えるのかもしれません。しかし、現実は厳しいですよ。収益をあげない会社、資金を集められない会社は残らない。

 これまで成功した経営者をみてきても、楽天の三木谷浩史さんや、GMOグループの熊谷正寿さんのように、生き残る経営者は骨太な人が多いと思います」

 ---藤田さんは何を目標として起業したのですか?

「実は、起業を決めた時は、事業内容さえも決めていませんでした。ただ一つ、『21世紀を代表する会社を作る』というスローガンだけを掲げていて、それを実行するために事業内容や形態を設計していったんです。そのスローガンは、今でも会社の軸になっています」