閣僚人事にも精彩を欠く野田「気遣い内閣」
それでも新内閣の誕生が政治の閉塞感の打破につながるよう願う

〔PHOTO〕gettyimages

 9月2日、野田内閣が発足した。党内派閥均衡に配慮した、内向きの「気遣い内閣」である。この路線は、党役員人事の延長線上にある。

 しかし、党の人事と、閣僚の人事とは異なる。内閣は、日本国の舵取り役という重い責任を負う。あくまで、天下国家、国民のためでなければならない。その観点から採点すると、この内閣にはあまり高い評価を与えることができない。

 いくつかの例をあげてみよう。

 経産大臣は鉢呂氏であるが、地元である北海道の農業を守り抜くという主張と、TPPの推進という経産省の立場をどのように調整していくつもりなのか。

タイムリミットが迫る普天間問題

 また、小沢派の一川氏が防衛大臣に就任したが、自らこの分野の素人であることを宣言している。日米関係の棘ともいえる沖縄の普天間基地移転問題をどのようにして解決するつもりか。

 先般、私も沖縄を訪ね、仲井真知事とこの問題について議論したが、容易には解決策が見いだせないであろう。沖縄の県民感情、アメリカ政府の軍事戦略、そして日本の安全保障という三つの要素を考慮にいれた答えを出すのは、素人では無理である。

 しかも、タイムリミットが迫っている。アメリカは年内の決着を求めてきており、それが容れられなければ、普天間の固定化も仕方ないと言ってきている。来年6月には、沖縄県会議員選挙が行われる。仲井真知事にしても、それまでは、明確な態度表明はできまい。

 政府、とくに防衛大臣の政治的リーダーシップが今ほど必要なときはないのである。素人が、こんな難問を担当するポストを引き受けてはならない。まして、「素人が大臣になることがシビリアンコントロール」と言うのでは、開いた口がふさがらない。沖縄県民も怒りに震えているであろう。

 同じ小沢派から山岡氏が国家公安委員長として入閣したが、小沢公判中であり、このポストは小沢派にはふさわしくなかろう。

 さらに言えば、安住氏の財務相、玄葉氏の外相は、少し荷が重いのではなかろうか。大臣が役人達の操り人形にならない保証はない。

 社会保障と税の一体改革は待ったなしの課題である。しかし、財政再建と経済成長の両立という視点が欠ければ、日本経済の復活はありえないし、したがって税収増も望めない。 新人閣僚に任せるにはあまりにも重要な課題である。

 外務大臣についても、同様である。先述した普天間問題に代表されるように、過去2年間の民主党政権下で、日米関係は悪化してしまった。この同盟関係を修復することが不可欠である。また、中国、韓国、北朝鮮、ロシアなど、近隣諸国との関係は、必ずしも良好ではない。TPPもまた、グローバル経済の中で日本が生き残るためには避けて通れない課題である。外交の舵取りに失敗すれば国が滅ぶ。

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