資源価格上昇の懸念も!2011年の資産運用を考える
日経平均は1万2000円もありうる
2010年は終値が1万228円と前年末より3%下落したが、新年はどうなるのか

 2010年が終わり、新しい年を迎えた。月並みだが、2011年はどんな年になるのだろうか。

お金の運用という観点で考えると、2011年はなかなか微妙な年だ。

世界の金融環境の基調を形成しているのは米国のFRBの金融緩和である。しかし、お膝元の米国の雇用情勢がなかなか改善しない。また、米国のCPI(消費者物価)は対前年比プラス1.1%とプラスゾーンにはあるが、米国がデフレ入りする可能性が完全に消えたわけではない。

「ヘリコプター・ベン」の異名を持つバーナンキFRB議長としては、デフレ入りは何としても避けたいだろう。FRBは法的に雇用情勢の改善に対して責任を持っているから、FRBの金融緩和は今後も続くだろう。簡単に終わらせることは出来ない。

米国の経済がなかなか改善しない中で(日本よりはましなのだが)、米国の金融緩和の影響が新興国への資本流入の形で表れている。

また、日本だけは未だにデフレだが、金、原油をはじめとして、資源価格が上昇している。2011年に関しては、インフレが大きなテーマになる可能性がある。このインフレは、日本が輸入している資源価格を中心に起こるはずなので、その影響で日本の消費者物価がプラスゾーンになったとしても、「デフレ脱却!」と喜べる状況にはならない。交易条件の悪化を通じて、むしろ景気の足を引っ張る要因になる可能性がある。

すでに中国は金融引き締めの段階に入っている。経験的に言って、中央銀行が金融引き締めに入って数次の利上げの後に、資産価格のバブルが弾けることが多い。日本にとって、今や中国はアメリカ以上に大きな貿易相手なので、中国でバブル崩壊が起こると、その影響は小さくない。確率は大きくない(まだ、0.5までないと思うが)のではないかと思われるが、最も警戒すべき要因は中国の資産価格急落の可能性だろう。
 

 一方、金融商品としては、ブラジル・レアルに投資する商品が流行しているが、急激な資本流入の悪影響(レアル高で輸出が苦しい)と、その反動(資本が流出する時の影響)を懸念したブラジル政府の資本流入規制もあって、ブラジルへの資金流入に翳りが見え始めている。通貨としてのブラジル・レアルもかつて80円を切る円高の頃の日本円のような高水準にある。「通貨選択型」の投資信託などで、ブラジル・レアルに投資している投資家は、率直に言って、そろそろ資金を引き揚げる方がいい時期に来ているように思う。

 日本株はどうだろうか。

12月27日の日経平均終値は1万355円だったが、PER(株価収益率)は東証一部全銘柄の平均で16.54倍だ。現在の株価での株式投資に対して、一年間に企業が株主のために利益を稼ぐ利回りを「益利回り」と称するが、益利回りはほぼ6.0%だ。

投資を考える場合、これに加えて、どのくらい経済が成長するのかが問題になる。先般、閣議で了解された来年度の予算の前提になる政府の経済見通しでは、来年度の実質成長率を1.5%、名目GDPの成長率は1.0%と見込まれている。

株価の高安を考える上では、経験的に、益利回り+名目成長率を長期債利回りと比較してどのくらい前者が高いかを見るといい。前者は7.0%、後者は1.165%なので、両者の差は約6%あって、現在の株価水準はそれ自体として高くも安くもない。

筆者の個人的な見通しとしては、民主党政権になってから政府がひどく情けないこともあって、日本の経済に対してあまりにも悲観的な見通しを持つ向きが多いので、その見通しの中で形成されている現在の株価は投資にあたって魅力的だと思っている。新興国のバブルが弾けないという前提条件の下でだが、来年末迄に日経平均で1万2000円くらいの株価上昇があってもおかしくない。

ある程度のリスクを取ることが可能な投資家は、内外の株式に対して半々くらいの比率で投資すると好結果が得られる可能性が大きいと考えている。

リスクを取らずに運用をしたい向きには

しかし、新興国のバブル崩壊の可能性やインフレなど、投資にとってのリスク要因が明確化しつつあるのも事実だ。リスクを取らずに運用したい向きは、どうしたらいいだろうか。

この場合に、お勧めできるのは、個人向け国債の10年満期のタイプだ。個人向け国債の10年満期タイプはこれまで長期国債利回りマイナス0.8%の利率で半年ごとに利回りが決まる変動利付きの債券だった。しかし、長期金利が1%前後に低迷する中で、この方式では、何とも魅力の乏しい商品だったので、販売額が低迷していた。

また、個人向け国債は、販売手数料が額面の0.5%(100万円売っても5千円)と、金融機関にとって売る気が起きにくい商品だという事情もあった。銀行の窓口に個人向け国債を買いに行って、他の商品をセールスされたという声を頻繁に聞く。しかし、売り手側にメリットが乏しいということは、買い手にとっては良い運用商品だということなのだ。


当面、国債の発行残高を減らす目処が立たない財務省としては、個人向けの国債販売を拡大したいという意図があり、今般、個人向け国債の10年満期型の利回り決定方式を、長期債利回り掛ける0.66(三分の二)に変更することを決定した。現在の長期債利回りなら、0.8%くらいになる。

銀行の定期預金と比較しても魅力的な金利だし、銀行預金の場合は、一行一人1000万円以上になると預金保険の保護が外れることを心配しなければならないが、個人向け国債はこの心配がない。

新しい年を迎えるに当たって、国債を勧めるというのはいかにも凡庸で些か気が引けるが、お金の運用に当たってリスクを取りたくない向きは、政府が何とか魅力的な商品にしようとしてサービスしている個人向け国債は魅力的な運用商品だと思える。

結論として、2011年の運用手段として、積極派には内外の株式に半々で投資することを(インデックス・ファンドで投資するのがいい)、慎重派には個人向け国債の10年満期タイプを買うことをお勧めしよう。
 

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