事務方人事も財務省のやりたい放題ーー「増税を吹き飛ばす18兆円の日銀引き受け」を阻止する野田増税内閣の「財務省シフト」
内閣支持率は大幅にアップした  【PHOTO】Bloomberg via Getty Images

 野田政権が先週発足した。内閣支持率も大幅にアップして上々のスタートだ。

 輿石東氏を幹事長に据え、党内融和を図った。輿石氏は日教組を支持基盤としており、組織決定には従う人だ。小沢氏とも近いが、最も御しやすい人なので、党内融和の観点からみれば最適解に近い。

 そして民主党内に重点的な人員配置している。政調会長に前原誠司氏をもってきて、すべての政策が原則、政調会長の事前承認が必要とした。しかも、仙谷由人氏を政調会長代理に起用する方針だ。

 このように党の重厚布陣になると、政府は軽量級でもいいとの考え方になっても不思議でない。その好例が安住淳財務相だ。

 財務省の仕事の範囲は広い。予算、税制、関税制度、国債、財政投融資、国庫、通貨、国有財産、たばこ・塩、国際政策、政策金融・金融危機管理と日本経済の多岐にわたっている。財務相は守備範囲が広く、国政全般に関連しているために、他の省での大臣経験者が多くベテラン議員が多かった。40代で財務相に就任したのは田中角栄氏以来である。

 政策として目先重要なのは円高対策と第三次補正予算だ。9日からフランス・マルセイユでG7が開催されるし、第三次補正予算も10月中旬までには出さないとまずい。

 ただし、やることはすでに決まっていて、改めて政策通の財務相をもってくることもない。政策は財務省官僚に丸投げでいいということなのだろう。

 野田政権では国家戦略会議を作るが、ねじれ国会ではいくら政府内で議論してもあまり意味ない。せいぜい政府内で財務省の決定に権威付けするだけの御用機関になるだけだろう。

首相秘書官人事も財務省主導

 政策を財務省官僚に丸投げして、財務省官僚がうまく政府部内を回せるように、事務方人事は財務省のやりたい放題だ。

 その一つは官僚の最高ポストである内閣官房副長官ポスト。竹歳誠氏であるが、異例の現職国交省次官であるばかりか、このポストは安倍政権を除いて歴代内閣では旧内務省系省庁が独占していたのに国交省出身として初めてだ。一時は、読売新聞に天下った前財務事務次官の丹呉泰健氏という噂もあった。それではあまりに財務省人事がみえみえということで、結局、現財務事務次官と親しいとされる竹歳誠氏に落ち着いた。

 それに、首相秘書官人事も財務省主導だった。菅政権の時には厚労省の山崎史郎氏の入省年次が一番高かった。一般社会では入省年次なんてたいしたことないように思うが、役人社会では年功序列なので入省年次は重要だ。私が総理補佐官補として官邸にいたときにも、座席表には名前とともに、入省名と入省年次がしっかり書き込まれていた。

 いずれにしても、首相秘書官で年次が高い人が全体を取り仕切る慣行がある。これまで、菅政権と麻生政権を除いて財務省からの秘書官の入省年次が最も高かった。今回の秘書官人事では、厚労省の入省年次を下げ、財務省内エース級で主計局次長だった太田充氏を官邸に出して、この「入省年次逆転」を「正常化」した。

 なお、財務省は省内人事で「増税シフト」敷き、省を上げてのサポート体制になっている。内閣官房(官邸)に出向させていた税務畑エースの佐藤慎一氏を呼び戻し、省内司令塔の総務審議官とした。また、国会対策が中心で財務省トップエリートへの登竜門である文書課長であった星野次彦氏を主税局審議官とし、公共担当主計官であった井上裕之氏を異例の主税局税制一課長(基幹税を担当)にした。

 政治的に見れば、以上のような、野田政権の重量級党人事、それと閣僚は軽量級だが財務省の充実した政府人事は、かなり巧妙だ。それなりに安定感がある。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら