雑誌
コンパクトカー界の革命児トヨタJC08モードで
40km/ℓカー 登場まであと10ヶ月!!

新型ヴィッツベースのハイブリッド システムは
先代プリウスの1.5ℓ+モーターを使用
搭載されるハイブリ ッドシステムは、コ ストと信頼性の面か らプリウスEXと同 じ1.5ℓエンジン+ モーターが使用され る。使い勝手もよく、 ボディが軽いぶん走 行性能もまったく問 題ないはす

 もしもエコカーのみにスポットを当てたイヤーカー表彰があるとすれば、'09年の受賞車はプリウスだろうし、'10年はリーフだったろう。では'11年はどんなモデルが授賞するか? ほぼ間違いなく、ここで紹介するヴィッツベースのハイブリッドカーであろう。

 開発呼称090Aと呼ばれるコンパクトハイブリッドカーの概要が明らかになったのは、この10月上旬のこと。フィットハイブリッドが発売されたタイミングに重なる。

 インサイトが発表された時にプリウスの情報が流されたように、今回もライバルを牽制する意味で社内情報が流れてきた可能性が高い。

 ともあれ、トヨタのハイブリッド専用車のなかでも最小となるコンパクトハイブリッドカーである。ベースは前述のように次期ヴィッツで、発売予定は'11年秋。驚くべきはその性能で、10.15モード燃費で44km/ℓ、順次移行しているJC08モードに換算しても40km/ℓという驚異の数値をマークする。

 本企画ではこのコンパクトハイブリッドカーについて、これまで報じられてきた情報を整理しつつ、新たに入った最新ニュースをお届けしたい。

 まずシャシーのベースは右記のとおり、この12月下旬にデビューする新型ヴィッツとなる。当初はヴィッツとまったく同じボディで発売されることも計画されていたが、それではガソリン仕様のヴィッツの販売に影響が大きいのではないかとの声があがり、別のボディが与えられることになった。

 ホンダの場合、現時点ではフィットハイブリッドとフィットガソリン仕様の2本立てで成功しているようだが、トヨタの場合はヴィッツのガソリン仕様がネッツ店でのみ販売されるのに対し、ハイブリッド専用車は全店扱いになる可能性が高いため、ネッツ系の営業担当が反対したとの声もある。

 注目のハイブリッドシステムだが、現行プリウスに採用されている1.8ℓ+モーター【ではなく】、なんと先代プリウス、つまりいま「プリウスEX」として継続販売している1.5ℓ+モーターのTHS-Ⅱが搭載されるという。

「どのようなシステムがこのサイズに適しているか、さまざまな検討がなされました。なかにはホンダさんのIMAのようなパラレルハイブリッドの搭載も研究されたと聞いています。しかし最終的には一番信頼性のあるシステムでいこう、ということでプリウスのTHS-Ⅱが選ばれたんです」

 と語るのはトヨタ関係者。すでに原価償却がすんでいる先代プリウスのシステムを使うことで大幅なコストダウンが見込めるのも重要だが、トヨタ社内でポイントとなったのはやはり信頼性。

 昨今、品質管理の重要性がますます強まり、特にトヨタは'10年、北米でブレーキ問題が発生し、日本でもプリウスのリコールに発展した問題があった。

 もし仮に、このコンパクトハイブリッドに新たなシステムを載せ、リコールが発生した場合、企業イメージに対するダメージは計り知れないものがある。

 そうしたことを考えると、極力リスクの少ない方法で最大限のリターンを得られる方法として、THS-Ⅱの採用が決定されたという。

 バッテリーの搭載位置は先代プリウスとは異なり、リアシート下に配置。これによりラゲッジルームの容量を犠牲にしない作りになっているという。

 気になる電池だが、高性能なリチウムイオン電池搭載も検討されたものの、コストの関係で現行プリウスと同じニッケル水素が有力だという。まだまだ高価なリチウムイオン電池は、量産によりコストが下がっていった時点で切り替えていく、というのが関係者からの情報。

 またモーターも先代プリウスと同じものが搭載されるわけではない、という情報も入ってきている。ボディが小さく軽くなったぶん、それほど大きなトルクは必要ない。モーターを小さくシンプルなものにすることでさらなる軽量化を実施し、燃費向上の狙いがあるという。

プリウスEXのモーター出力は68ps、モータートルクは40.8kgm。ボディが小さくなるぶん、これほどの出力&トルクは必要ないため、モーターはもう少し小型のものが搭載される可能性も高いとのこと

 そしてデザインである。フロントマスクはベースモデルのヴィッツの面影を残しつつ、ハイブリッド系の先進性を演出した仕上げになっているという。

'10年1月のデトロイトショーに出品された「FT–CH」先進的なデザインでこのイメージが流用されるという

 フォルムは'10年1月のデトロイトショーで公開されたトヨタのコンパクトハイブリッド「FT-CH」とほぼ同じ。特にリアデザインはこれと同じイメージになる予定。

 全体的なイメージはプリウスとヴィッツの融合・・・といった感じになるそう。

 ボディサイズはライバルとなるであろうフィットよりひと回り小さく、全長3800×全幅1690×全高1500mm。フィットより全長で100mm短く、全高で25mm低い。

 燃料タンク容量は40ℓくらい。そうすると1600km以上無給油。実燃費でも1000km以上走れることになる。

ライバルを蹴散らす圧倒的な実力

 さてではそのコンパクトハイブリッドだが、気になるポイントは価格とライバルとの性能差、そしてデビュー時期だろう。

 今回関係者への取材でわかったことだが、トヨタはこのコンパクトハイブリッドで「すべてのライバルに圧倒的な差をつけて勝つ」という凄まじい目標を掲げている。発売は'11年秋~冬を予定しており、10月発表、12月発売開始が濃厚な線。

現代ビジネスブック 第1弾
田原 総一朗
『Twitterの神々 新聞・テレビの時代は終わった』

(講談社刊、税込み1,575円)
発売中
⇒本を購入する(AMAZON)

 この時期にコンパクトカーで活躍しているモデルは左にあげたクルマたちだが、10.15モード燃費で比較するぶんには、どれも(フィットハイブリッドでさえ)相手にならないのが現状の分析。

「マーチやヴィッツがアイドリングストップを搭載してそこそこ燃費をアピールしています。確かにアイドリングストップ装置は単価が安くてそれなりに効果も出るんですが、ハイブリッドのように【数が出ればどんどん安くなる】というものではありません。

 今がギリギリの採算ラインでしょう。これ以上は安くならない。けれどハイブリッドは違います。量産効果で電池がどんどん安くなるんだから、ガソリン仕様からの値上げ幅もどんどん縮まります」

 と自信を覗かせるのが前述のトヨタ関係者。

リアフォルムは現行プリウスの面影があり、先進性をアピールする。バッテリーは座席下に設置され、荷室スペースもそれほど犠牲になっていっないため、使い勝手も必要十分だ

「むしろ実質的な維持費という面では軽自動車がライバルになるだろうし、先進的なイメージというところでマツダさんのSKYACTIV-G(スカイアクティブG)が台頭してくるのではないかと考えています」

 と続ける。

 また、こうした他メーカーの主力車種もライバルとなるのだが、当然自社製品、特にひとクラス上のプリウスも顧客を奪い合うことになるのではないか。

「一部、ユーザーが重なることは承知の上です。そのうえでお客様に選んでいただきたい。というのも、現在プリウスを買ってくれない最大の層はどんな人たちかといえば、やっぱりフィットなわけです。いつも月販ランキングで2位につけている。これをヴィッツだけで攻略できるかというと、そういうわけにもいかない。もっと強力な商品力が必要です。そこでこのコンパクトハイブリッドなわけです」

 とトヨタ関係者は続ける。

「もちろん大歓迎ですよ。一刻も早く出してほしい。というのも、いまプリウスがガチンコの競合で負けるケースって、ホンダさん相手がほとんどです。フィットはこれだけ引いてくれたっておっしゃる。ハイブリッドって言ったってフィットにも乗ってるやろとも言われる。でもコンパクトハイブリッドが発売されれば、そういうお客さんが丸ごと取り込めるわけでしょう。プリウスじゃちょっと高いなってお客さんを取り込めるっていうんはすごく強力です」

 とはトヨペット系販売店幹部のコメント。最大のライバルであるフィットはこの10月8日にマイチェンを実施し、安価でお買い得なガソリン仕様のフィットと、先進的で環境に優しいフィットハイブリッドの二枚看板を用意してきた。

 そこでトヨタは本家ハイブリッドカーのプリウスと、この新型コンパクトハイブリッドカーで対抗するという算段なのだ。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら