歳川隆雄「ニュースの深層」
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樽床を小沢、輿石の監視役に配置する「したたかな人事」で野田内閣は長持ちする予感

「援軍」鹿野は再任、「敵軍」海江田は入閣見送り

2011年09月03日(土) 歳川 隆雄
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〔PHOTO〕gettyimages

 野田佳彦新首相の人事は実に巧妙である。

 先ずは民主党執行部人事。小沢一郎元代表に近い輿石東参院議員会長を同会長兼務で幹事長に起用、党内外を唸らした。「党内融和」を謳った代表受託スピーチを文字通り、実行に移した。が、それよりも注目すべきは、樽床伸二元国対委員長を幹事長代行に据えたことである。

 75歳という年齢もあるが、必ずしも政策通とは言い難い輿石氏では、NHKの「日曜討論」をはじめ民放各局の討論番組に出演する各党幹事長・書記局長討論に耐えられない。その役回りは樽床氏に委ねられる。故事来歴に倣えば、鈴木善幸政権下の二階堂進幹事長と竹下登同代理の関係と同じである。

 加えて、「カネと人事」を握る幹事長獲りが小沢氏の悲願であったが、昨年秋以降、「非小沢」を鮮明にしてきた樽床氏が小沢、輿石両氏間に楔を打ち、言わば"監視役"になることによって党の「小沢間接支配」に歯止めがかかる。幹事長実務は事実上、樽床氏が掌握することになる。

 それだけではない。政調会長に前原誠司前外相を起用したことも大きい。小沢氏が代表時代に「党と政府の一元化」路線を打ち出し、政権交代後の鳩山由紀夫政権で党政策調査会を廃止した。菅直人政権では政策調査会を復活させたものの、内閣で政策を決定する枠組みは堅持した。だが、この「政治主導」が逆に政権運営に混乱をもたらした。

 野田首相はこうした反省に基づき、前原氏に政調会長就任要請するに当たって「政府の意思決定をする際、政調会長の了承を原則とする」と言明したのだ。すなわち、政調会長ポストの重みが圧倒的に増したのだ。

 新首相(代表)の野田氏は松下政経塾第1期卒業生、実質幹事長である幹事長代行の樽床氏が同3期生、そして強力政調会長の前原氏も同8期生である。民主党中枢は、この「松下政経塾コンビ」によって占められているのだ。

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