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ホンダ、大丈夫か!?
最近ちょっとおかしくない?

 ホンダ関係者から自分の会社を心配する声が編集部に! 決算は好調なようだけど、いろいろ考えるとホンダって・・・ヤバくないか?

 10月29日に発表されたホンダの7~9月期連結決算は、上々の内容だった。日米で自動車販売が回復し、アジアなど新興国では二輪車販売が好調。純利益が1359億円と前年同期の2倍を記録した。

 しかし、「ここ最近、どうもおかしい」とホンダ内部の関係者は語る。国内で売れているのは一部の車種ばかりだし、販売ラインアップはどこかいびつで、かつての代名詞だったモータースポーツに目立った動きがない。どうしたホンダ? 元気なくないか? 本企画ではそういったことにスポットを当ててみた。

車種ごとの力の入れ具合&インサートは見殺しですか!?

 まずはこの9月の、車種別販売台数(上表)を見ていただきたい。登録車(除軽)のラインアップのなかで目立った売れゆきを見せているのはフィット、フリード、ステップワゴンの3車種のみ。この3車だけで計3万2467台を販売している。これはホンダの全登録車販売台数(4万2641台)の76%で、約8割を占める。

 インサイトとCR-Zのハイブリッド勢を加えると実に88%。つまりホンダ車は小さいクルマ+ステップワゴン+ハイブリッドしかほとんど売れてない、ということなのである。

「売れてるクルマが集中しているっていうことは、販売台数の少ないクルマでも生産中止せず頑張って作り続けているということで、悪くいえば販売戦略・新車戦略で失敗してるってことです」

 と語るのはホンダ関係者。以前からホンダ車には当たり外れが大きいという指摘はあったが、それが今の販売結果につながっているということか。

昨年2月、インサイト発売当初はディーラーも全力で支援。あの頃の勢いがすでに懐かしい

 新車戦略の失敗について、最も顕著な例がインサイト。昨年2月6日に発表されたさいはその価格(189万円~)もあって国内外に衝撃を与え、4月には1万481台を販売して車種別月販ランキングで史上初のハイブリッド車トップを獲得。

 月販目標台数は5000台だったが、それを大きく上回る月を重ねており、順風満帆かに見えた。

 しかし今年に入ってから販売は急落。それまで車種別販売台数ベスト10どころかベスト5の常連だったインサイトは1月に3430台で22位まで急落。以後20位近辺をいったりきたり。

 10月8日に初のマイチェンを実施して懸案だった乗り心地を改善したものの、同時に安いフィットHVが発売されたことで、10月以降の販売はさらに急激に落ち込むことは必至だ。

 すでに12万台以上売れているインサイトに対し、フィットHVを出すというのは新車戦略としてどうなの? インサイトはもう売れなくてもいいという判断なのか?

フィットにHVが追加されたことでさらに商品力はアップ。大ヒット間違いなしではあるけれと

「インサイトとフィットHVについては、社内でも大きな議論になりました。インサイトの担当営業にしてみれば"殺す気か!!"って話ですよね。これは完全に、付け焼き刃でやってきた販売戦略のツケなんです」

 とは前述のホンダ関係者。どうも数年前に立てられたハイブリッド販売戦略によれば、そもそも「インサイト→フィットHV」ではなく、「フィットHV→インサイト」という販売順序だったのだという。

「ウチのIMAというハイブリッドシステムは、トヨタさんのTHSに比べて小さく安く作れるのが最大の利点。現行フィットは開発段階からIMAを搭載することを念頭にありました。けれどエコカーの気運が高まり、エコカー減税やエコカー補助金なども始まり、プリウスも3代目に切り替わるということで、"専用ボディじゃないと売れない、プリウスに対抗できない"と、社内がある種の恐慌状態に陥ってしまいました。それで慌ててインサイトを出したんです」

 本来インサイトが発売されるタイミングでフィットHVが発売され、プリウスと勝負するはずだった。インサイトは2010年、すなわち今年中に2モーターを搭載するか、あるいはリチウムイオン電池を載せるか・・・いずれにせよプリウスよりさらに先進的なシステムとなって登場する予定だったそう。

 それが福井社長時代、ハイブリッドシステムの開発にブレーキがかかったことで今のような「付け焼き刃の商品戦略」になったとのこと。

「いまウチの商品って、いちいちトヨタさんに逆転されているじゃないですか。まるでジャンケンで、無闇に先出しして負けてるみたいな感じでしょう。インサイトを出したらプリウスを出されて、フィットHVを出したら来年ヴィッツベースのHVが出てきて・・・。

 本来はそうじゃなくて、プリウスに対しては安いフィットHV、ヴィッツベースHVに対しては(今より先進的な)インサイト、という戦略だったんです」

 と、語ってくれた。

「それが完全な大失敗だったというわけではありません。インサイトは一時期トップをとったし、フィットもしばらくはトップをとるでしょう。でもいずれ追い抜かれることがわかってる商品を出すって、

10月8日に初の大幅なマイチェンを実施したイ なるほど、そのような計画でンサイト。懸案の乗り心地はかなり解消

 ホンダらしくないですよね。出すからにはウチらしい、どっからでもかかってこい、負けないぞ、って商品にするべきです。そのためには一時凌ぎの商品戦略じゃなくて、中長期的な観点から戦略を練らないと」

 なるほど、そのような計画であったのならインサイトの処遇も理解できる。しかしここまで進んでしまった商品戦略、軌道修正にはどれくらい時間がかかるのか。課題は大きく重い。

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