野田新政権に「日露経済協力」へのメッセージを送るロシアは、エネルギー=LNGカードを切ってくる

8月29日に野田佳彦財務相が民主党代表に選出された〔PHOTO〕gettyimages

 ロシアは民主党代表選挙で前原誠司前外相が代表に選出され、首相に就任することに期待していた。それは前原氏が外相時代に北方領土における日露共同経済活動の検討を含む2国間の提携を強化する意思を示したからだ。ロシアの意図は、日本との戦略的提携を強化し、中国の影響力拡大を牽制することにある。端的に言うと、ロシアは前原氏を帝国主義者と見なしている。ロシアは帝国主義外交を展開しているので、「力の論理」の信奉者である前原氏とならば、帝国主義的な勢力均衡外交というゲームができると認識しているのだ。

 8月29日に野田佳彦財務相が民主党代表に選出されたことを受け、同日、ロシア国営ラジオ「ロシアの声」(旧モスクワ放送)が興味深い論評を行ったので、全文を引用しておく。

〈 引き継いだ問題 どう解決するか --- 野田政権誕生へ

 日本では与党・民主党の代表選挙が行われ、54歳の野田佳彦氏が新しく代表に選ばれた。野田氏は官僚出身ではないものの、官僚からも人気があり、演説にも優れ、人との関係を作るのが上手な人物だ。また日本経済の先行きについても、幻想を抱いてはいない。地に足がついた人物だといえるだろう。早ければ30日にも首相としての指名を受ける可能性もある。

 野田氏が首相として引き継ぐものは決して楽な仕事ではない。世界経済危機のあおりを受けた経済問題など、首相が交代したことによって自動的に消え去るようなものではない。また世界情勢も単純なものではない。というのも前政権の間、中国や韓国、ロシアなどの隣国との関係がさらに複雑化したとも言えるからだ。

 野田氏は政治経済改革の信奉者として知られている。また前任者と同じく、デフレ退治に重きを置いており、そのほかの問題解決はデフレ克服の後にすべきだという意見を持っている。財務大臣任期中の政策を振り返ってみても、野田氏が保守的な意見の持ち主であることが分かるだろう。財政の建て直しのため、支出の削減と新しい国債発行を支持していた。

 また原発問題については、より厳しい安全基準のもとでの原発保全を唱えている。外交については、ほかの民主党議員と同じく、アメリカとの軍事政治同盟を支持すると共に、中国の急速な強大化に警戒感を有している。