世界最先端の知識と技術で 不妊症治療に奇跡を起こす
[取材・文:吉原 清児 写真撮影:森 清]
2010年秋、体外受精のパイオニアである英国のロバート・エドワーズ博士(ケンブリッジ大学名誉教授)がノーベル医学生理学賞に選ばれた。
授賞理由は、〈体外受精は現代医学における画期的な業績であり、全世界の不妊に悩む人びとに対して喜びをもたらした〉というものである。
不妊治療、特に体外受精は、女性の卵巣から採取した卵子と男性の精子を培養液の中で結合させ、その受精卵を再び母体(子宮)にもどす生殖補助医療の一種だ。
78年7月25日、同博士の手で人類初の体外受精児(試験管ベービーと呼ばれた)が誕生し世界中を驚かせた。今日までに、全世界でおよそ400万人が体外受精によってこの世に生を享けているという。日本国内においても毎年約2万人、すでに累計出生数が20万人近い。