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吉原 清児:著 『医師がすすめる「最高の名医」+治る病院』 虫歯・歯周病 歯周治療+インプラント治療

石川知弘 石川歯科 浜松ペリオ・インプラントセンター院長

 石川と11年来のコンビを組む歯科技工士の名を、中島清史氏という。知り合った30代の頃は両人とも無名に近かったが、今や、中島氏もその世界では知る人ぞ知る名人だ。「同じ世代の彼は自分の仕事に命を賭けているプロフェッショナルです。頼む時は『命を賭けて作ってくれ』と注文書に書きます。当然、私も同じ気持ちで仕事に向かいます」(同)

歯の喪失の原因は、虫歯と歯周病そして不精

 もう一人のケースをみてみよう。通常、30代半ば頃から発病することの多い歯周病は、10代の若い世代にも見られることがある。「若年性歯周病」である。

 1982年生まれの女性Bさんは、16歳の時、「歯がしみる」を理由に、石川歯科へやって来た。その時点で若年性歯周病があり、放置すれば数年のうちに全部の歯が抜け落ちてしまう可能性があった。

 しかし、自分の歯が抱えた深刻な問題を本人は気づけなかったようで、途中で通院を止めてしまった。当時16歳という年齢を考えれば無理なかったか。

 石川は、「この子が帰って来たのは」と、彼らしい言い方でその後の経緯を語り始めた。

「この子が僕の診察室へ帰ってきたのは、19歳の頃でした。すでに前歯1本が抜け落ち、歯と歯の間には隙間がありました。本人の口の中の写真、レントゲンや他の治療例などを示し、歯周病菌に侵された歯の根部分の骨がどのようになっているかを説明しました」と。

 上の写真は、Bさんが石川医師と共に取り組んだ歯周病治療の軌跡である。石川は3年がかりで治療に打ち込み、『治してほしい』という患者の願いをかなえたのだ。

「そんなに歯が悪くない人をよりきれいにすることは、そう難しくはありません。非常に問題を抱えている人を完成度の高いレベルで治療し、心から喜んでもらえる。

 そこに歯医者という仕事の醍醐味が一つあります」(同) 歯の問題は、命に直接関わりがないせいか、昔もいまもノンキに構える人がいる。

 しかし、< 私は、人間の美醜を決定する最大のポイントは目だと思っていたのであるが、歯のほうもそれに劣らず重要だということに気づいた >と、作家山口瞳さんは書いている。30年前の逸話だが、総入れ歯だった山口さん(当時55歳)は、こうも書いた。