『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』著者:適菜収 「B層」をキーワードに、ゲーテが予言した大衆社会の末路を読み解く!

2011年09月01日(木)
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 ゲーテは大教養人でした。そして彼の教養は「大人の教養」と呼べるようなものでした。

 わが国では近年しばらく教養ブームが続いています。

 教養を謳ったバラエティー番組やクイズ番組が激増し、学者が出演して「面白くてタメになる」学問を紹介しています。資格取得ブーム、脳ブーム、新書ブームも並行して発生しました。

 しかし、いくら知識を身につけても、教養人になれるわけではありません。

 ゲーテが言うように、教養は知識では伝わらないのです。

 世の中には、立派な経歴と豊富な知識を持つバカがたくさんいます。彼らは、どんなに知識を増やしても、せいぜい知識人にしかなれません。

 知識人と教養人の間には深い溝がある。

 かつてニーチェは民主主義が新しい形の奴隷制と専制を生み出すことを予言しました。彼はプラトン(紀元前四二七~紀元前三四七年)からイマヌエル・カント(一七二四~一八〇四年)に至る西欧知識人に罵声を浴びせる一方で、教養人ゲーテをこよなく愛しました。ニーチェがゲーテから受け継いだのは、知識ではなく教養です。

 それは、歴史と現実に向かう態度、周囲との間合い、つまらないものに対する軽蔑といったものでした。私はB層社会に対抗するキーワードは「教養」だと考えています。

 次章以降、ゲーテに学びながら、近代大衆社会とB層の関係を追っていきます。

ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体 著者:適菜 収
(講談社刊) 序章13~42ページより抜粋

* * *

●こんな社会に誰がした?/野蛮な時代がやってきた/日本の将来を決めるB層の動向 ●資本主義と「大きな嘘」/ベストセラーはなぜ生まれるのか?/「ハーバード白熱教室」と東大生/凡庸な人間からは偉大な人間も凡庸に見える ●B層に愛される「B層グルメ」/「大衆酒場」と「反大衆酒場」/産地にこだわる鮨屋の客 ●B層カルチャーの暴走/ジャリタレなのに「アーティスト」?/「アート」とは何か?/大相撲八百長問題と紅白歌合戦 ●日本を滅ぼす「B層政治家」/マニフェスト詐欺の真相/『たけしのTVタックル』の罪 ●大衆社会の末路——ゲーテの警告/過去の負債は引き継ぐな!/ビジョンを描きたがる人たち/ガリレオ・ガリレイの処世術 ほか


『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』
著者:適菜 収
定価 880円(税込)⇒本を購入する(AMAZON)

  • ●適菜収(てきな・おさむ)

1975年、山梨県に生まれる。作家。哲学者。早稲田大学で西洋文学を学び、ニーチェを専攻。卒業後、出版社勤務を経て、現職。著書に、ニーチェの代表作「アンチクリスト」を現代語に訳した「キリスト教は邪教です!」(講談社+α新書)、「はじめてのニーチェ」(飛鳥新社)「ゲーテに学ぶ賢者の知恵」(メトロポリタンプレス)などがある


 

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