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東日本大震災による海底地割れを
捉えた世界一の潜水船の「秘密」
「しんかい6500」に潜入!

しんかいの「顔」に当たる前面は迫力満点。形の違う左右のアームは、400kgの握力を持つ。海底の岩石も採集可能〔PHOTO〕小檜山毅彦(以下同)
母船からは一切ケーブルを繋がず、動力源は搭載しているリチウムイオン電池のみ。総工費は約125億円だ

「これまでに1263回潜航しているので、延べ3789人を深海に運んだことになります。稼働して21年になりますが、無事故が一番の誇りですね」

 コックピットへ続く狭いハシゴを下りながら、千葉和宏・副司令(47)はそう言って笑う。

その名の通り、世界一深い6500mの深海まで潜れる有人潜水艇『しんかい6500』で、東日本大震災の震源域に潜り、貴重な調査結果を持ち帰った人物だ。プロジェクトを指揮した櫻井利明・司令が言う。

水深3218mの地点で撮影された南北方向に走る海底の亀裂。幅約20cm、長さは不明だが少なくとも数十mは超える[PHOTO]海洋開発研究機構

「調査した3地点、南北170kmにわたって東日本大震災の影響と見られる海底の亀裂が確認できました。'93年に奥尻島に津波が押し寄せた『北海道南西沖地震』で崩落した海底など、数多くの震源域を調査してきましたが、これほど広範囲で地震の影響が確認されたことはありません」

 大役を終えて『海洋開発研究機構』(神奈川県横須賀市)に寄港した『しんかい』の内部に、今回本誌カメラは特別に潜入することを許された。