94万ドルを集めたiPod nano腕時計プロジェクト2011年を騒がすキーワードは「シェアリング・エコノミー」だと私は感じています。インターネットの力で、これまで共有されなかったモノや場所を多くの人と共有できるようになり、よりコストが低く、かつコミュニケーションによって精神的にも豊かな生活を送ることができるようになる、という未来です。(参照:ソーシャルメディアにより広がる「シェアリング・エコノミー(共有型経済)」の大きな可能性)
様々なモノが共有されるに連れて「お金」のあり方も変わりつつあります。最も興味深いのは「大量の個人が小額を拠出することで何かを創りだそうとする」動きが少しずつ芽生え始めていることです。ウィキペディア型のクラウドソーシングモデルが「お金」にも浸透しつつあるのです。
分かりやすい例では、米国の「Kickstarter(キックスターター)」が挙げられるでしょう。このサービスは、小さなプロジェクトを実現させるための資金調達プラットフォームです。
Kickstarterに訪れると、「障害者の作品を集めた展覧会」「ミツバチの生態を描いたドキュメンタリーの制作」「ロボットが奏でる音楽会」などなど、様々なプロジェクトが紹介されています。
ユーザーはこれらのプロジェクトに対して事業資金を提供することが可能になっており、提供金額に合わせて何らかの対価(10ドル提供で展覧会のチケットをプレゼント、50ドル提供で作品プレゼントなど)を得ることができます。
たかが個人の出資なんて・・・と思われる方もいるかも知れませんが、Kickstarterの集金力は侮ることができません。最も成功しているプロジェクト「iPod nano腕時計」は、なんと13,510人から総計94万ドル(約8,000万円)以上を集めました。たった一人の「思い付き」が共感と資金を集め、実際に製品化される流れに至っていることは驚きです。
資金を集めることができずに埋もれていた優れたアイデアも、このKickstarterを使えば実現することができます。現時点ではまだ利用者は多くないサービスですが、いずれ私たちのような消費者が日常的に小額を出資し、面白いプロジェクトとの関わりあいを楽しむようになる未来も訪れるのではないでしょうか。
Kickstarterと同様の仕組みは日本にはまだありませんが、登場した暁には日本を元気にするサービスとして期待することができるでしょう。起業に必要な資金を、銀行から借りるのではなく共感してくれる個人から募る、という形も夢ではありません。
「シェアリング・エコノミー」という概念は、明るい未来を示してくれているように感じます。共感がお金を集め、社会を動かしていく、といったことが実際に動き始めています。2011年はこうした動きが一層高まり、文字通り新しいエコノミーが台頭し、私たちの生活を変えていく可能性があるでしょう。
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