着実に存在感増す人民元=2020年には世界最大の経済大国の可能性も
中国人民銀行は厳しく為替レートを管理している〔PHOTO〕gettyimages

 成長著しい新興国の通貨は、政府の厳格な管理下に置かれているケースがある。その典型例が中国の人民元だ。人民元はドルやユーロなどと違って、為替市場で自由に売ったり買ったりすることが難しい。中国人民銀行が厳しく為替レートを管理しているからだ。そのため、今の状況が続く限り、人民元はドルの代わりに基軸通貨にはなりえない。一方、人民元の重要性は、最近、少しずつ上昇している。

 その背景には、何と言っても、中国経済の高い成長力がある。昨年、中国のGDPはわが国を抜き、世界第2位の経済大国の地位となった。現在の状況が順調に続くとすると、2020年には、米国をも抜き去るとみる経済専門家もいる。確かに、リーマンショック以降、中国が世界経済を下支えしてきた構図を見ると、世界経済の中で中国が占めるポジションが急速に拡大していることが分る。それに伴い、人民元の価値も少しずつ上昇している。

 その中国は、国内のインフレ懸念の高まりと大規模な不動産バブルの問題を抱えている。それらの問題が顕在化するようだと、どこかの時点で、中国経済が大きく減速することも考えられる。われわれが世界経済を考える場合、中国の要素を抜きにすることはできなくなっている。

人民元の過小評価で輸出振興を図ってきた

 中国経済は、分ったようで、なかなか理解が難しい構図を持っている。それは、中国が、一党独裁による体制によって運営されている=他の民主主義国とは異なった構図があるからだ。今までの中国経済の構造を一口で表現すると、輸出依存度が圧倒的に高いことだ。GDPに占める輸出の割合は3割を超えており、輸出依存度はわが国のほぼ2倍と考えればよいだろう。

 中国政府が輸出を振興できた背景には、自国通貨である人民元の厳しい為替管理政策があった。有体に言うと、政府が人民元の為替レートを低く抑えることによって、政策的に輸出にドライブをかけてきたのである。そうした中国政府の政策を、"自分勝手"な政策運営を批判する声が高まっている。

 特に、中国経済のプレゼンスが高まるにつれ、欧米諸国からの批判は一段と高まっている。それに対して、中国政府は、少しずつ人民元の対ドルレートを引き上げているものの、依然、人民元は過小評価が続いているとみられる。商社の中国担当の一人は、「今でも、人民元は3割から4割程度過小評価の状態」という。ただ、過小評価は、どこかの段階で是正されるはずだから、今後、人民元の価値は上昇する可能性は高い。

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