クリントン国務長官辞任説も飛び交うオバマ政権のレイムダック化
日米関係にも影をおとす
〔PHOTO〕gettyimages

 米国のオバマ民主党政権に暗雲が立ち込めている。11月の中間選挙で野党共和党に大敗を喫したバラク・オバマ大統領は、米議会下院において野党に転落したため、「ブッシュ減税」継続を発表するなど、来年1月5日から始まる議会対策に汲々としている。

 それだけではない。ワシントンの政界雀の間で、民主党内には早くも2012年の大統領選予備選に向けてオバマ再選を諦めた次期民主党大統領候補を巡る動きがあると、指摘する者すら出てきている。具体的には、ヒラリー・クリントン国務長官辞任説である。

 クリントン国務長官がレイムダック化不可避のオバマ大統領を見限って、来年夏までに政権を去るのではないかとの指摘だ。講演活動などの金儲けと、次期大統領予備選出馬のための充電期間を確保するためにワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS。ジョン・ハムレ所長)か、ブルッキングス研究所(ストローブ・タルボット所長)のいずれかに席を置き、来年秋から全米及び海外講演ツアーに取り組むというのである。

 現在のところ、ワシントンのベルトウェイ内(日本流で言えば、「永田町と霞が関の住人」)での噂の域を出ていない。

 それでも、このゴシップが無視できないのは、日本、中国、韓国歴訪のため12月14日に北京入りしたジム・スタインバーグ国務副長官がオバマ大統領の1月下旬の年頭教書発表前に辞任するという見方が支配的だからだ。

 圧倒的な存在感のヒラリーの下で国務省ナンバー2のスタインバーグは埋もれがちだが、実は彼こそが「オバマ(クリントン)外交」の立案企画・遂行の総元締めである。そのスタインバーグが「フォギーボトム」こと国務省を去る意味は大きい。

 そのスタインバーグだけでなく、オバマ政権の対日、対中、対朝鮮半島政策の実務責任者であるロバート・キャンベル国務次官補(東アジア太平洋担当)の辞任説すらあるのだ。実はキャンベルもスタインバーグ率いる米代表団のコアメンバーに入っていたが、持病の鼻炎悪化を理由にドタキャンしたのだ。

 東アジア政策に関して言えば、さらにある。菅直人首相は17日から18日まで沖縄を訪問した。まさに沖縄の米軍基地問題の代名詞である普天間飛行場移設問題について、これまで行われきた日米両国政府交渉の米側実務責任者の一人であった、国防総省(ペンタゴン)のウォレス・グレッグソン国防次官補(アジア太平洋担当。元在沖縄米海兵隊司令官)も退任するのだ。

 付言すれば、1月中旬の訪日が確定しているロバート・ゲーツ国防長官もまた夏までに退任することが決まっている。さらにさらに、である。ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のジェフリー・ベーダー・アジア担当上級部長の辞任説も取り沙汰されているのだ。 

 仮にいま米政界雀の間で話題となっている退任話が現実化すれば、今後の日米間の外交・安全保障政策上、少なからぬ影響が出来する。これまでの米側プレイヤーが日米交渉の舞台から総退場することになれば、日米を取り巻く風景は一変する。なぜならば、退場するプレイヤーの殆どが知日派であり、親日派だったからだ。

北米局長は普天間問題のため6月まで続投

 一方の日本側である。

 1月には外務省の一部幹部の人事異動が行われる。対米政策の実務責任者である梅本和義北米局長(1977年外務省入省)は普天間問題の交渉があるため6月まで続投する。

 東アジア政策関連で言えば、斎木昭隆アジア大洋州局長(76年)は駐インド大使に転出し、同期のトップを走る杉山晋輔地球規模課題担当審議官(77年)が後任に就く。そして前原誠司外相の信任厚い垂秀夫アジア大洋州局中国・モンゴル課長(85年)が同局参事官に昇格する。

 日本サイドの陣立ては米国に比べ磐石だとしても、米側に不安が残る以上、今後の日米関係が憂慮すべき状況にあることに変わりはない。 

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