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鍵山秀三郎イエローハット創業者
心が澄んでくる「そうじ」のやりかた

かぎやま ひでさぶろう 1933年東京生まれ。52年岐阜県立東濃高校卒業、53年東京のデトロイト商会入社。61年、独立してローヤルを創業、93年『日本を美しくする会』を発足。97年イエローハットに社名変更。翌年社長を退任し。現在、『日本を美しくする会』相談役。最新刊の『正しく生きる 人として大切なことは何か』(アスコム)ほか著書多数。 [PHOTO]タネイチ(以下同)

 自動車用品を販売するイエローハットの創業者である鍵山さんは、そうじをするために世界中に出かけて、生き方の基本を説いている。そうじをする人としない人では、いったい人生にどんな違いがあるのだろうか。

 よく言われるそうだが、イエローハット創業者の鍵山秀三郎氏はとても一部上場企業のトップには見えない。終始ニコニコと笑顔で、物腰が柔らかい。

 自分の会社のそうじから始まり、結果として公共施設のトイレや街頭のそうじをする『日本を美しくする会』まで発足させた鍵山氏は、身をもって社会還元を実践する日本では稀な企業人だ。

「私も怒ることはありますが、決して人を恨まないんです。恨みはすさみを生み、世の中が悪くしかなりません。私はこの"心のすさみ"が大嫌いで、なくして少しでも社会をよくしたいと始めたのが、そうじという小さな行動でした。そうじをすると心が澄んでくるんですよ」

 そうじ好きの両親から貧しくてもきれいに暮らせることを教わった鍵山氏は、人の心を変える『そうじの力』を実社会でも学んできたという。

夜中の社内そうじで、泥棒にまちがえられた

「私が自動車業界に入った昭和20年代は業界全体が職場も乱雑、従業員も粗野で、汚い部品販売店に一般のお客さんなど来もしません。最初に勤めた会社で環境を変えなければダメだと、私はまずトイレそうじを始めました。理由は人がいちばんいやがる汚い場所だからですよ。

 よけいなことだといじめらましたが、職場から店まできれいにしていくうちに客層が上がって森繁久弥さんやディック・ミネさんなど有名人も来てくださるようになり、従業員のモラルも上がっていったんです。