"星"を失いつつあるミシュランガイドの憂鬱

フィナンシャル・タイムズ UK

2011年09月07日(水) クーリエ
マスコットのビバンダム君がエプロンを外す日が来るかも・・・〔PHOTO〕gettyimages

 世界的レストランガイドとして名高いフランスのミシュラン。だがネット時代の波に乗れない赤字事業のため、その先行きは暗い。

 2007年に「鳴り物入り」で東京進出を果たしたフランスのグルメガイド、ミシュラン。その後、一時のブームは過ぎ去って、星の数を世間が騒ぎ立てるようなことも少なくなったようだ。

 ミシュランガイドといえば、かつては世界が一目置くレストランガイドだった。しかしインターネット時代の到来とともに、前世紀の遺物となりかねないような状況に陥っているという。

 同ガイドはパリ中心部のスノッブで洗練された7区にオフィスを構えていたが、最近都落ちし、子供が道端で立ち小便をしているようなパリ郊外ブーローニュ・ビヤンクールに引き移った。昨年12月には、ガイドの総責任者を務めてきたジャン=リュック・ナレが辞めている。後任が発表されたのはナレが辞めてから7ヵ月以上過ぎてからのこと、しかも後任者はバイク用タイヤ部門にいたアメリカ人だった。

 レストランがミシュランの星を1つ獲得すると、その店の売り上げは3割増えるといわれるが、ミシュランガイド自体は毎年1500万ユーロ(約16億円)の赤字を出している。昨年、アクセンチュアがコンサルティングをおこなったところ、現状のままだと2015年には年間の赤字が1900万ユーロに膨れ上がるとのこと。アクセンチュアは「廃刊」を含む3つのシナリオを提示したという。

 もっとも廃刊は現時点ではありえない。ガイドの存在がミシュラン社のブランド価値を高めている側面も無視できないし、そのような過激な決断を下すことはフランス人には不可能だ。実際、毎年世界全体で100万人を超える人々がこのガイドを買っている。そのため、このガイドは一種の「フランスの国宝」になっているのだ。

 ミシュランは1889年創業のタイヤメーカー。1900年に、人々が自動車で遠くの町のレストランを訪れるようになれば自然とタイヤの売り上げも上がるという趣旨のもと、ガイドも創刊された。同社のトップは創業者一族が務めてきたが、近々血縁者ではないジャン=ドミニク・セナールが経営を引き継ぐ。彼は創業者一族ほどガイドに思い入れがないようだ。



最新号のご紹介

COURRIER最新記事
Ranking

「クーリエ・ジャポン」 毎月25日発売

More
Close

クーリエ