「フェイスブック・エフェクト」~マーク・ザッカーバーグとフェイスブック創業の物語

 クリスマス近づくアメリカでは、今年10月に公開された映画『ソーシャルネットワーク』(日本では2011年1月に公開)の効果もあり、世界最大のソーシャル・ネットワーキング・サービスの「フェイスブック」、またその創業者であるマーク・ザッカーバーグ(26歳)の話題が急速に広まりつつあります。

 12月5日は米CBSテレビの人気ドキュメンタリー番組「60ミニッツ」に登場、また12月9日にはマイクロソフト創業者ビル・ゲイツ氏と米投資家のウォーレン・バフェット氏が米国の富豪たちに呼び掛けている『ギビング・プレッジ』への参加を表明、彼の個人資産約69億ドル(約5800億円)の大半を寄付することを約束し、多くの人に驚きを与えています。

 ただ、6億人近いユーザー数を持つサイト運営の権限を一手に握る、この若き経営者がどんな人物で、どのような価値観・世界観を持ってフェイスブックを経営しているか、日本では詳細に語られることはまだ多くありません。先日読んだ以下の本はそんな疑問を丁寧に解きほぐし、マーク・ザッカーバーグという人物の理解を深め、フェイスブックが今後どこに向かっていくのか、多くのヒントを与えてくれるものでした。

『The Facebook Effect』著:David Kirkpatrick
邦訳版『フェイスブック 若き天才の野望』は2011年1月に日経BP社から出版予定

 同書の中で印象的だったのは、ザッカーバーグが徹底的に信じ、追求するビジョンです。情報を共有し透明性を持つことで、お互いが学び、コラボレーションが生まれ、社会がよりよい方向に導かれることを、一点の曇りなく信じていることです。

 象徴的な出来事は2006年9月に起きました。当時リリースされたフェイスブックの新機能「ニュースフィード」は、自分が更新した近況や情報がフェイスブックの友達にリアルタイムで閲覧可能になるしくみでした。

 今でこそフェイスブックやツイッターで広く利用されているこうした機能も、当時のアメリカではプライバシーの侵害と捉える人が多く、フェイスブック上に反対運動のためのグループがすぐに開設されたのです。瞬く間にそのグループの情報は伝播し、3日間で75万人が参加し、抗議デモまで予定される程の強い反対にあったのです。

 ザッカーバーグは冷静に寄せられた批判に耳を傾け、必要なプライバシー設定に徹夜で改良を加え、3日後には、フェイスブックのブログで犯した過ちを謙虚に謝罪し、改良したプライバシー設定の説明を掲載しました。

 ブログのメッセージはニュースフィードを通じ瞬時に拡がり、反対運動も収束に向かいました。情報を共有することを否定するのではなく、適切なコントロールの選択を与えることでより安心して交流を図ることが出来るよう、議論を前に進めることに成功したのです。