混迷する政局に大喜びする財務省、経産省がやりたい放題
天下り先の復活に、民営化つぶし
社民党との復縁、公明党への擦り寄り、そして大連率となりふり構わぬ姿勢だが、本当は何がしたいのか

  民主党は12月12日投開票の茨城県議選で、推薦1人を含めた24人のうち当選が6人にとどまった。菅政権の支持率が下落し、地方選でも極めて厳しい結果が続いている。そんな中、政局が話題になっている。新聞の紙面には連日、小沢国会招致、大連立の言葉が踊っている。

 テレビや新聞はいまごろになって騒ぎ立てるが、こうした動きは公開情報を丹念に追うことによって予見できる。私は3週間前に、このコラムで「丹呉元財務次官の人事、菅・与謝野会談の裏側でくすぶる『増税大連立』」を書いた。そのとおりの展開になっていている。

本来、この12月は国会がなく、民主党も野党から攻められない。国民生活に直結する来年度予算のために、良いところを見せられるはずだが、なにしろ来年の通常国会を乗り切る自身がない。そこで、菅政権は、社民党との復縁、公明党への擦り寄り、さらには大連立を含むあらゆる国会対策を弄している。

 これらの動きに出てくる人物の名前はあえて挙げないが、権力の魔力にとりつかれた亡霊、妖怪のような政治屋たちばかりだ。一方で、こうした政局騒ぎを横目にちゃっかりと保身をはかっているのが官僚だ。

たとえば、国際協力銀行(JBIC)の復活だ。政府は10日、インフラ輸出の促進を検討する関係閣僚会合を開き、日本政策金融公庫から国際金融業務部門のJBICを2011年度にも分離・独立させるとした。

 

 政策金融は、小泉政権当時の2005年、民業圧迫であるとともに、霞ヶ関の官庁ごとの天下り先になっているということで、政投銀や商工中金は完全民営化、残りは政策として必要な分野を残して一つ(日本政策金融公庫)に統合化された。

その結果、財務省は、政投銀は完全民営化、JBICは、円借款部門は国際協力機構(JICA)へ、国際金融部門は日本政策金融公庫へ統合された。政投銀とJBICのトップはともに財務省歴代次官経験者が天下る最高級ポストである。そこで、他省の政策金融機関とは別格という意味で、両方とも「銀行」という名称にしている。その戦艦「大和」と「武蔵」を同時に失ったのだから、財務省の怒りはすさまじかった。

 この政策金融改革を内閣府で担当していた私は、当時、財務省幹部に「タカハシは三度殺しても足りない」といわれたとか。

政府系金融機関の完全民営化は反故に

 統合化のメリットは、天下りポストを減らすとともに、産業間・国内外をシームレスにする。さらに、細分化された機関でそれぞれ資金調達を行うのではなく一元化された機関で行う方が効率化ということはあまり前だ。

 霞ヶ関の主張では、産業ごと、国内と国外の区別が重要とのことだが、そんな区分けして経営する金融機関などない。さらに、その当時の政策金融改革では、もし政策金融が必要だとしても、霞ヶ関官庁がそれぞれ自前の金融機関を持ち、資金調達から直接融資までフルセットで政策金融を行うのではなく、民間金融機関の融資を活用して、その融資に部分保証を付すなどの民間金融ベースの政策金融を行うというスキームも作られている。

 要するに、日本政策金融公庫で十分であり、それでも不足するときには、新たな天下り先を作らなくても、民間金融機関ベースに政策金融ができるようになっている。

ところが、民主党政権になってから、政投銀や商工中金は完全民営化は反故にされた。さらに、ここにきて、政局でドタバタしているときに、JBICの復活である。これは、単にポストを復活されるだけである。

おそらくその批判に対して、トップ(だけ)は民間人にするという対案を霞ヶ関は用意するはずだ。しかし、実態は政投銀の時のように、形式的には民間人をトップとするが、ナンバー2には役所からの天下りになる。それで、実権は握れるからだ。


こうした復権の話は霞ヶ関中にすぐ伝わる。財務省が得するのだから、経産省も黙っていないだろう。すでに、独立行政法人の日本貿易保険(NEXI)についても機能強化の話がでている。

これは、10月末に行われた事業仕分け3弾での無様な結果を引き継いでいる。貿易再保険特会で行われていた貿易再保険は、NEXIに統合となったが、これは完全に役人に丸め込まれた結果だ。

 そもそも再保険と保険と二階建てになっており、もともと国営貿易保険を、再保険は国、保険は民間とするために2001年の省庁再編時に、再保険は経産省特会、保険はNEXIで独立行政法人と決めた。さらに渡辺喜美行革大臣の時、NEXIは民営化(特殊会社化)となった。

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