「東大までの人」と「東大からの人」〔受験生必読〕入ってみるとよくわかる

2010年02月03日(水) 週刊現代

週刊現代賢者の知恵

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「学生時代は勉強は皆無、朝から晩まで渋谷でカラオケ、ナンパ、クラブという生活でした。就活では、東京海上や三井住友銀行などを受けましたが、ほとんど一次か二次面接で落ちて、フリーターになるしかなかった。『東大だから安心』と思っていたけど、社会ではもう通用しない。もっと勉強して、頑張っていれば・・・・・・」

 就職難の嵐は東大生をも巻き込んでいる。一次面接で軒並み落選、50~60社受けてやっと1社内定などザラである。東大法学部を卒業後、司法試験にも就活にも失敗、現在はフリーターとして暮らすM氏(30歳)が言う。

「親にはまだ司法試験の勉強をしていると嘘をついていますが、学生時代の遊び癖が抜けなくて、なけなしのカネでただ飲んでいるだけの日々です。僕の場合、東大に入った時点で完全燃焼してしまった。努力したくないし、頑張る気力もなくなった。自分のせいだとわかっているし、後悔もしています」

「東大から」は1割しかいない

 ただ、今回取材した東大生の中には、「さすが東大」と唸(うな)らせるような逸材もいた。

 この春、法学部に進学する2年生(20歳)は、5個以上のゼミに所属する。「ハーバード大学のケースメソッドを学ぶ経営学のゼミ」「国会議員から講義を受ける政治ゼミ」など、その幅も広い。この他にも、東南アジアをフィールドワークする文化人類学の授業や、現役コンサルタントとディベートする自主ゼミにも参加している。

「それでもバイリンガルや留学生と話をしていると、能力の違いに危機感を覚えます。それなのに、東大ではマーク式で答えさせる試験を出す教授がいる。採点が楽なのかもしれないけど、もっとしっかりやって欲しい。世界から見れば『日本一の大学は東大』なのだから、それに恥じない教養は最低限持っていたいし、海外に出た時にとても有利だからこのブランドを利用しない手はない」

 公務員試験にトップクラスの成績で合格した法学部の卒業生(29歳)は、こう言う。

「東大には与えられた問題を解く能力だけが高い“受験勉強プロ”が多いけど、教養の高い本当の知識人も1割くらいはいる。こうした人材と議論し、将来を語れるのが東大に行く何よりのメリットです。社会に出てからのほうが、東大という色眼鏡で見られる場面は多いのだから、学生時代から『脱・東大』だなんて将来が思いやられます」

 彼はいま霞が関を離れ、各界に散らばる東大生人脈を集めて「新しい社会貢献ビジネス」を始めようと動いている。この二人に共通するのは、高い志を実現させるため、東大をうまく利用しているということだ。

「東大は、約200億円と国立大学の中でも突出した『科学研究費補助金』をもらうなど、国の厚い補助を受けながら、教養を学ぶことができる大学です。その恵まれた環境は、東大生のためだけにあるのでなく、東大に来ることができない多くの国民のためにあるともいえる。だから、東大生にはその特権を享受するだけでなく、社会に還元する公共心が求められるのです。

 私は、東大生を長年見てきていますが、常に1~2割ほどの学生は純粋な公共心が強く、国家社会のために働こうという志を持っている。こうした人物が東大内でさらに力を磨いて、社会奉仕に励んで欲しい」(前出・川人弁護士)

 東大までの人、東大からの人。どちらに転ぶかで、人生が大きく変わってしまうことだけは、覚えておいたほうがいい。

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